断章521

 マルクス主義者(コミュニスト)、そして、彼らに同伴する「知識人」たち。

 彼らのおもな仕事は、日本や“資本主義”の否定的なあれやこれやに対する民衆の“トラウマ”や“反感”や“道徳的憤激”をあおり立てて“ルサンチマン”に育てあげ、マルクス主義の「コミュニズム=地上の楽園」という“ドグマ”で民衆を“洗脳”して仲間に引き入れることである。

 だから、彼らは、日本や“資本主義”の肯定的な(すぐれた)あれやこれやについて、まったく語らない。

 イーロン・マスクジェフ・ベゾスビル・ゲイツ、さらにウォーレン・エドワード・バフェットなど世界有数の富豪たちは、はじめから富豪だったのではない。

 たとえば、イーロン・マスクは、南アフリカ共和国出身で、1989年に17歳でカナダに移住し、2002年にアメリカ合衆国の市民権を取得した。ペイパル、スペースX、テスラなどを共同設立し、その成功により、大富豪になった。

 

 わたしは、兵器生産だけが得意な経済システムだった旧・ソ連や改革開放前(毛 沢東時代)の中国の経済システムを、“蒸気機関”にたとえた。

 この伝でいうと、欧米・日本の経済システム(資本制生産様式)は、日々、より効率的に、よりパワフルに改良される“内燃機関”(ガソリンエンジン)である。それは、直列6気筒からV型8気筒さらにターボまで装着した ―― フォード・システムからトヨタ生産方式さらにテスラ・電気自動車へ、別言すれば、産業資本主義から金融資本主義さらに“知能資本主義”へ進んだ。

 欧米・日本の経済システムが産出する財物の質と量は、1970年代当時のソ連や中国を圧倒した。特権的赤色党官僚がどんなに号令してもとうてい敵(かな)わなかった。1991年のソ連崩壊や中国の改革開放政策への転換は、“官僚指令経済”の敗北宣言であり、資本や市場経済を導入する“官僚統制資本主義”への転向宣言であった。