2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

断章546

『革命家の教理問答(カテキズム)』(バクーニン著作集・白水社刊から) ―― ここには“冷徹な憤怒”がある。 1. 革命家は死すべく運命づけられた人間である。彼には自分自身の利害もなければ、感情も愛着も財産もなく、名前すらない。彼のうちなるすべては、…

断章545

「1869年の12月26日、モスクワの農業大学のなかの池の氷の下に大学生の死体が発見された。頭部の銃創で他殺であることが明らかだった。ただちに捜索が始まった。学生がイワーノフということがわかって、その周囲の人物が多数検挙されて事件の全貌がわかった…

断章544

1860年代、ロシア帝国は領土拡張を続けていた。また支配下にあったポーランド、リトアニア、白ロシアでの反乱を制圧した。 「専制国家は他の国民に対しても専制的だ。国民が専制主をチェックできないからだ。それどころか、国民は自分が抑圧されていることを…

断章543

ロシアの危機を何によって解決すべきか? 政府が解決できないとすれば、どうすればいいのか? 革命(思想)は、空から降ってはこない。 ある時代の、ある土地の、歴史と社会のなかで生まれ成長し腐朽する。あるいは、別の時代の、別の土地のものが、伝播し模…

断章542

ロシアの危機を何によって解決すべきか? 政府が解決できないとすれば、どうすればいいのか? ロシアのインテリは、雑誌『同時代人』(ソヴレメンニク、『現代人』とも訳される)誌上で回答した。ちなみに、 「インテリゲンチャという言葉は、直訳すると『知…

断章541

ロシア帝国(ロマノフ王朝)は、専制的な統治を続けていた。「ニコライ1世(1825年~1855年)は、“デカブリストの乱”後の不穏な社会情勢を『腐敗、不正常』とみなした。有害な思想を取り締まることを目的として検閲法を発布。さらに、皇帝官房第三部という秘…

断章540

デカブリストの乱から3年。 「1828年、ふたりの少年がモスクワ市をみおろせる雀が丘の上に立っていた。眼下をまがりくねって流れるモスクワ川には小さな舟が浮かび、地平線にシルエットをみせている多数の教会の尖塔や円屋根は落陽にかがやいていた。木造の…

断章539

革命(思想)は、空から降ってはこない。 レーニンとロシア共産党(ボリシェビキ)の革命(思想)は、彼らの時代=彼らの社会のどのような問題に対する、どのような解決策であり、その解決策は諸問題をきちんと解決できたのか? 「ロシアでは11~12世紀まで…

断章538

2022年11月、「国連」の世界人口推計は、世界の総人口が80億人を突破したと明らかにした。1950年の世界人口は、およそ25億人だったという。世界人口はまだしばらく増大するが、19・20世紀のような経済成長と生活向上は、困難になるかもしれない。というのは…