断章27

去る3月27日付けの韓国紙は、「日本による植民地時代に強制徴用され、韓国政府から被害事実を認められた被害者が21万8693人に上ることが分かった。強制徴用被害者らを支援する市民団体が行政安全部に対し行った情報公開請求により開示された資料で明らかになった」「同団体が日本企業を相手取り新たな集団訴訟を起こすため弁護士団体と共に3月25日から開始した原告募集には2日間で71人が申請した」と報じている。

(注意すべきは、その受付窓口が光州市庁に設置されているということである。行政と一体化しているのだ)

 

そして、4月29日、南西部・光州地域の原告54人が新たに日本企業9社を相手取り損害賠償請求訴訟を起こした。
「被告企業は三菱マテリアル(旧三菱鉱業)、三菱重工業、住石ホールディングス(旧住友石炭鉱業)、日本コークス工業(旧三井鉱山)、日本製鉄(旧新日鉄住金)、JX金属(旧日本鉱業)、西松建設不二越日立造船の9社。原告54人のうち3人は直接被害を受けた当事者で、51人は死亡した被害者の遺族だ」「今後、さらに追加訴訟を起こす計画という」(韓国・聯合ニュース

 

5月1日、韓国の元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身隊員らが日本企業に損害賠償を求めた訴訟で、原告側の代理人弁護士は、既に差し押さえた日本製鉄(旧新日鉄住金)と不二越の韓国内の資産売却命令を出すよう裁判所に申請したと明らかにした。一連の訴訟で資産売却命令申請は初めてである。

 

そして、大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支院は5月7日、日帝強制徴用被害者代理人団が1日に戦犯企業である日本製鉄(旧新日鉄住金)の差し押さえ資産を現金化してほしいという内容の売却命令申し立てを受け付けたと明らかにした。

 

文在寅政権は6カ月間、徴用工問題について何もしていない。

韓国・文在寅政権が大法院判決に対して手をこまねいていることは、意図的なものだ。

徴用工問題に関する文在寅大統領の本音は、「日本の植民地支配は違法だった。賠償せよ」ということである。

ところが、当の本人が、「徴用被害者問題は1965年の韓日請求権協定で解決したという見解を決めた2005年の盧武鉉政権時に、当時この決定を下した委員会に民政首席秘書官として参加していた」立場上、今はまだ、正面切って本音を言うことを控えているのだ。

 

文在寅は、気脈を通じた人間を大法院に送り込んで今回の大法院徴用工判決を出させたうえで、「三権分立の司法が決めたことだから」「国民の権利行使の手続きに対して政府が介入してはならない」「経済交流と政治は別」とうそぶきながら、姑息な引き延ばしをしている。

これは、「ずるがしこい引き延ばし戦術」である。

ズルズル引き延ばすことで 

1.徴用工訴訟の参加者がさらに増え

2.やがて世間知らずでお節介な善意の「人権派」がもっと騒ぎ出し

3.日本からの反発が増すほどに韓国内の文在寅支持が増えるだろうと計算しているのだ。

 

どれほど月日が流れても「反日」の止まない過去志向であり、外国公館の尊重を定めたウイーン条約を踏みにじり(外国公館前に嫌がらせの偶像を置くのは世界中で韓国だけだ)、国家間合意を破棄し、国際法に違反し、日韓国交正常化の根幹を破壊する文在寅政権を厳しく批判しなければならない。

断章26

 

「私たちは自分で思っているほど実際には物事をよくわかっていない」

「私たちはどうでもよくて取るに足らないことにばかり気をとられてしまう。そして相変わらず重大な事件に虚をつかれ、そんな事件が私たちの世界を形づくっていく」(『ブラック・スワン』)と、ナシーム・ニコラス・タレブは言った。

 

世界恐慌の再来かとわたしたちを怯えさせたリーマン・ショックからすでに10年余り。わたしたちは、また「どうでもよくて取るに足らないことにばかり気をとられて」いるのだろうか。

 

リーマン・ショックとは、2008年9月15日にアメリカ合衆国投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことに端を発して、連鎖的に世界規模の金融危機が発生した事象を総括的にこうよぶ」(Wiki

 

1929年世界恐慌が襲来したとき、すでに1923年の関東大震災によって痛めつけられていた日本の恐慌は異常な激しさを呈したのである。

 

関東大震災では、「一府六県をあわせて55万戸が半壊以上の被害を受け、全焼38万戸に達した。死者・行方不明者9万5千人、罹災者合計340万人」(『昭和史』)

 

恐慌の影響の「一例として青森県の状況をみれば、1924年以来、数度の凶作があったために、・・・ほとんど再起を望みがたいといわれるほどの困窮状況にあった」「家庭貧窮のため子女の前借(身売り)をした者は、1931年において2420名、32年5月末日においてすでに1503名という数字があげられている」(同書)

 

5月10日、米政府は、中国からの2千億ドル(約22兆円)分の輸入品にかける追加関税を10%から25%に引き上げる制裁措置を発動した。米中高官が9日にワシントンで協議したが、回避には至らなかった。中国側は10日、重ねて報復を予告。制裁関税の応酬になれば世界経済への悪影響は避けられない。劉鶴副首相を筆頭とする交渉団が訪米して交渉しているが、「鶴が席を蹴って飛べば、北京に雹(ヒョウ)が降る」ことになって、一段と先の見えない世界になるだろう。

 

もう世界恐慌が起こるような時代ではない?

 

トランプ大統領は関税で貿易赤字が減らなければ、2期目には通貨戦争に打って出る腹積もりだろう。第二のプラザ合意的なドルの切り下げである。米国の赤字を半分に減らすには、ドルの価値を半分にすればいい。ライトハイザー米通商代表部代表が80年代にも担当した貿易戦争の結末はプラザ合意であり、結局、ドル(自国通貨)の切り下げであった」

「MMT(現代貨幣理論)議論が騒がしい。MMTはオカシオ・コルテス米下院議員が流行らせた、赤字垂れ流しを肯定する経済理論である。(中略)

先進国はデフレの環境にある。日本を見れば分かるように、赤字を垂れ流してもインフレにならないから、インフレになるまではもっと国債が発行できるし、ハイパーインフレになどならないというのがMMT論者の主張だ。・・・これをやると歯止めがなくなり、政治家や政商の利権や私腹肥やしに悪用される可能性が高いだろう。そして、格差の拡大が縮小するどころか、さらに拡大するといった副作用が出てくるだろう。(中略)

オカシオ・コルテス議員は日本が借金をどれだけ増やしても財政破綻していないから、財政赤字を気にする必要はないという。

しかし、日本は30年間巨額の財政出動をおこない、MMTもどきの政策を続けてきたが、全然景気は良くなっていないではないか? それに日本は米国と違って債権国であり、債務国の米国がこのような政策を採用すれば、ドルの急落や金利の急騰を招きかねない。

日経平均株価と日本の賃金を見ればMMTの答えは出ている。中間層の没落だ」

「債券王のジェフリー・ガンドラック氏は、『MMTに関してどう思うか?』という質問に対して以下のように答えている。

『すでにどんな考えも許容されるところにこの世の中は来ている。日本は負債をものすごく増やした。しかしその結末としては30年前の株式市場の最高時から30年たってもまだ半分しか回復していないということ以外何もない。ゼロ金利、国の負債の増加、経済的に成功していないという事実の間に何か相関があるのだろう。フェアで機会がある良い社会を作ろうというのがMMTであっても、実際には結果は逆となり、本当の問題を見過ごしているに過ぎない』」(石原 順)

 

大嵐が襲来したとき、豪華ラウンジで楽しむ富裕層からエンジン音が響きわたる油臭い船底にいる最下層民までを乗せて、海賊が待ち構える海図のない海を漂っている1億2千万人を乗せた日本丸は、持ち堪えることができるだろうか?

断章25

ココイチさんで「手仕込みササミカツカレー」(5月末までの限定)と玉子サラダを食べました(ココイチの創業者・宗次徳二氏の人生は知る値打ちがある)。

 

カレーを食べて、インドを思ったのである。

アヘン貿易にまで手を染めた邪悪なイギリスは、産業革命期には綿工業のライバルであった「(植民地の)インドで、作業ができないように職人の腕を切り落としたり目をくり抜くなどの悪辣非道のことまで行って、インドの織物産業を壊滅させようとした」(佐藤けんいち)のである。

あるイギリス人軍事史家は、「第二次大戦戦時下のインドでは英国の失政から200万を越える餓死者が発生した。その点で筆者の母国である英国が『傲慢な帝国主義国家』の筆頭であったことに疑いの余地がない」と述べている。

 

七つの海を支配し世界の覇権を握っていたイギリスであるが、19世紀後半には急速に発展してきたドイツに挑戦されたのである。新興ドイツは、「トゥキディデスの罠」に嵌(ハマ)り、イギリスの覇権に挑んだのである。

 

トゥキディデスの罠とは、古代アテナイの歴史家、トゥキディデスにちなむ言葉で、覇権国と新興国との緊張関係が戦争を引き起こすほどに高まる現象)」(Wiki)

トゥキディデスのわなに陥った過去500年の実例を見ると、16のうち12で戦争が起きています」(林 哲矢)

「小豆島のサル山のボス、マッチョは2番オスに攻撃を受け・・・このオスにボスの座を取ってかわられた」(産経新聞 2017/12/26)

 

とまれ、列強間の不均等発展による世界覇権の争奪戦は、第一次世界大戦第二次世界大戦に帰結したのである。

 

なお、第一次世界大戦を通じて「ソヴィエト連邦」、第二次世界大戦を通じて「中華人民共和国」などが成立したのであるが、その「主観・イデオロギー」を除いてみれば、(全体主義的な)「国家」としてはありふれたものにすぎなかったのである。

ソ連崩壊後に明らかになったレーニン極秘指令書。ドイツ・ソ連不可侵条約「秘密議定書」などを参考のこと)

 

第一次世界大戦第二次世界大戦を経て、世界の覇権はイギリスからアメリカに移った。

アメリカは現在の帝国主義世界においても覇権を握っているが、新興・中国の挑戦を受けているのである。

「米国防総省は2日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表し、中国がサイバー攻撃による最先端技術の窃取などで軍事力の近代化を進めていると批判した。巨大経済圏構想『一帯一路』を通じた海外への軍事展開の可能性も指摘。長期発展戦略『中国製造2025』も軍近代化を直接支援しているとした」(毎日新聞 5/3)

「米国と中国の摩擦は根の深さが見えてきた。これをエネルギーの視点で見れば、世界最大の生産国である米国と、世界最大の消費国である中国の攻防と捉えることができる。

急増する石油・天然ガスの生産量をテコに、『エネルギー支配』に動く米国に対し、エネルギーの次世代技術を押さえて米国の支配に挑戦する中国の構図である。

米国の原油生産量は2018年に前年比17%増の日量1095万バレルとなり、ロシアやサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国に躍り出た」(日本経済新聞 5/5)

 

「米中は経済的に相互依存の関係だ。だから戦争は起きないという意見については、第一次世界大戦を思い起こすことが重要だ。当時、英国とドイツは経済的な結び付きが極めて強く、現在の米中に似ていた。当時のベストセラーをご存じだろうか。ノーマン・エンジェルの『大いなる幻想』だ。

同書は『(貿易や投資により)経済的な相互依存関係が高まっているため、戦勝国は勝利によって手にするよりも多くの価値を戦争で失う。だから戦争を起こすことは不可能である』と主張した。だが現実には、第一次世界大戦の勃発は免れなかった」(グレアム・アリソン)

 

核兵器の出現により全面戦争は起きにくくなった(先般のインドとパキスタンの衝突も以前なら戦争になっていただろう)。しかし、列強間の争いが全面戦争の形をとりにくくなったということは、戦争がなくなったということではないし、為替操作・貿易摩擦・ブロック化・代理戦争がなくなったわけでもない。

しかも、「世の中には旧来型の戦争観をもっている国がある。・・・民主主義国は、極力戦争を回避して外交によって解決しようとする。ところが戦利品が獲れるという発想をもつ国は、本気で戦争をやろうとする。すると、短期的には、戦争をやる覚悟を持っている国のほうが、実力以上の分配を得る」(『新・戦争論』佐藤 優)のである。

 

平和の青い鳥を探して、「空理空論」の夢にまどろんでいれば、オオカミに食べられてしまうだろう。力の裏付けのない平和は、真の平和ではないのである。

断章24

5月2日のCNNは、「中国では昨年8月以来、名門の北京大学の学生を含め、左派系の学生が全土で相次いで拘束されている。いずれも各地で労働運動にかかわっていたと思われる。

中国政府はデモを組織しようとする動きや反体制的とみなす行動を支持する動きに対して神経をとがらせる。メーデーは他国では労働組合によるパレードやデモが行われるが、中国では一般的な休日とみなされている。

北京大学マルクス主義団体の代表を務めていたチウ・シャンフアンさんはソーシャルメディアで4月28日、北京郊外にある出稼ぎ労働者の求職の場へ出かける予定だと明らかにしていた。

チウさんは、メーデーの休日を利用して普通の労働者と一緒に働きたいと説明する一方、政府にはよく思われないかもしれないと述べ、『もしこうした肉体労働をすることによって私が失踪したら、誰の仕業かはみんなが分かっている』と書き込んでいた。

28日、ほかの4人の学生と一緒に歩いていたチウさんは、6人の私服警官に後を付けられているとして写真を投稿した。これを最後に投稿は途絶え、活動家団体は、メンバー5人が行方不明になったと発表した」と伝えている。

 

世間知らずのウブな(ナイーブな)人間、あるいは判断力の衰えている人間は、詐欺師のウソを見抜くことができない。羊頭狗肉にだまされ、「オレオレ」にだまされる。

「言葉、看板、宣伝」が、そのまま「現実、実際、本当」であると思うのだから、詐欺師のいいカモになるのである。

 

羊頭狗肉とは、看板は上等でも、実際に売る品物がごまかし物で劣悪であること、転じて、見せかけや触れ込みはりっぱでも、実質が伴わないことをいう」(『日本大百科全書』)

 

ある国が、「私たちの国は社会主義です」「私たちの国では労働者が主人公です」「私たちの国は地上の楽園です」といえば、コロッとだまされる。

「美辞麗句」にだまされるのか、「地獄への道は善意で敷き詰められている」ことを知らないのか、洗脳されているのかは知らないが、いまだに、中国共産党北朝鮮金王朝の代弁者になりたい日本人もいる。

 

それらの国々の「言葉、看板、宣伝」ではなくて、その「現実、実際、本当」を見るなら、それらの国々すべてが、(全体主義的な)「国家」としてはありふれたもの、その経済社会構成は統制された(あるいは未熟な)「資本主義」にすぎないことが分かるのである。

 

それが、共産党が支配する「社会主義国家」で、なぜ、このようなことがまかりとおるのかを理解し、中ソ対立・中越戦争などのいわゆる「社会主義国家間戦争」を理解し、なぜ自称「社会主義国家」で深刻な民族弾圧、宗教弾圧、言論弾圧などの人権侵害があるのかを誤りなく理解するための鍵である。

 

中国の庶民が又、「お上のことは信用していないが、食えているからそれでよい。エリート学生たちの運動に関わって酷い目にあいたくない」と思えば、この学生たちの運動も潰えてまた長い沈黙の時が続くだろう。香港の自由も危うい。しかし、肌に刻み込まれた自由への渇望があるかぎり、自由のために戦う志士が必ずまた登場することは、歴史の教えるところである。

 

「広々とした天下を住処となし、天下の正位置に立って、大道を踏み行なう。志を得れば民とともにこれを行い、志を得なければ独りでその道を踏み行なう。富貴も彼を頽廃させることはできないし、貧賤も心変わりさせることはできないし、武威を以てしても屈服させることはできない」(『孟子』)

断章23

今の日本の富裕層は「鼓腹撃壌」であり、庶民は「さしあたり穏やかに暮らしてゆけるならそれで良い」としている。

 

富裕層とは、「鼓腹撃壌」とは・・・

野村総合研究所の2017年の調査によると、純金融資産5億円以上の「超富裕層」は8万余世帯で、彼らが持つ純金融資産は84兆円とされている(純金融資産であることに注意)。

 

「『図解・富裕層ビジネス最前線』(中経出版)によれば、日本には10億円以上の資産を有する層は3万人いて、職業別の内訳は、経営者1万6900人、医者、歯科医8000人、優良企業役員1650人、著名人1590人・・・だ」

「2015年から『財産債務調書』の提出が義務付けられた。・・・富裕層の全国一斉調査である」「ただ、その“見える化”の試みも今回はまだ不発に終わりそうだ。年間所得が3000万円、5000万円あっても資産や有価証券を持たない人は対象外だ。引退して所得のない高齢者はどれほど資産家であっても報告不要。代々の土地持ちで、資産の額は莫大でも年収は普通のサラリーマンと変わらないという御曹司も同様だ」「こんなことで日本の富裕層の実態が浮き彫りになり、税金の徴収がうまくいくというのだろうか」と古俣慎吾氏は疑問を呈している。

(例えば、名古屋市の近郊都市の駅前に大型商業施設があるとする。所有地をこの商業施設に貸して毎月1000万円、年1億2000万円の賃料を得ている人でも、名古屋市内の会社に勤めて年収700万円の範囲内で普通に暮らし、怠りなく税金対策をしているような場合には、『財産債務調書』を提出しなくてもよいのだろう)

「日本企業はグローバルに見た場合、高い業績は上げていないものの、役員報酬もその分だけ低いというのが常識だった。だが、ここ数年、役員報酬の金額はうなぎ登りに上昇しており、業績は相変わらず国内基準だが、役員報酬だけはグローバル基準という経営者にだけ都合のよい企業が増えてきた。ある大手電機メーカーのトップは2018年3月期に15億円もの報酬を得ている」(加谷 珪一)

 

片や「さしあたり穏やかに暮らしてゆけるならそれで良い」としている庶民は、「日本の就業者数は約6500万人なので、雇用者報酬250兆円を就業者数で割ると、労働者1人あたりの報酬が計算できるが、ここでは約385万円となる。大雑把にいうと労働者として働いた場合の平均年収は385万円と考えてよく、この数字は各種統計から得られる平均年収とほぼ一致している」(同)ということである。

なお、労働者たちの平均年収の内訳に立ち入れば、すでにご存じのように日本経済は二重構造であるから、上層の上位、上層の下位、下層の上位、下層の下位、最下層と、ここにも明らかな格差があるのである。

 

念のために言えば、格差(所得、資産)は、いつの時代にも、いつの国にも存在した。

「戦前の三井合名会社の部長クラスは、現代の価値で4000~5000万円相当の年収」(鈴木 貴博)だった。

住友財閥系での月給は、帝国大学卒は80円、早・慶卒は65円、専門学校卒60円、中等学校卒35円。一方、世間の大多数の人は、小学校卒で、日給制で月額10数円もあればうらやましがられた」(『昭和の恐慌』)のである。

 

今、1億2千万人を乗せた日本丸は、豪華ラウンジで楽しむ富裕層からエンジン音が響きわたる油臭い船底にいる最下層民までを乗せて、海賊が待ち構える海図のない海を漂っている。巨大氷山は無いと言い切れるだろうか?

断章22

1868年の明治維新から1945年の敗戦まで70余年である。

「国家経営の基本中の基本であり、いかなる先進国であれ例外なく従ってきた成功の方程式である富国強兵」による戦争の時代だった。

敗戦から2019年(令和)まで、すでに70余年である。

愛国心」と「国防」を放擲(ホウテキ)して、身も心もアメリカに預けて、「損得勘定」「拝金主義」で突き進んできた「富国軽武装」の平和の時代だった。

 

すでに黄昏(タソガレ)る日本であるが、西の空にはなお夕焼けの名残りがある。

富裕層は「鼓腹撃壌」であり、庶民は「さしあたり穏やかに暮らしてゆけるならそれで良い」としている。

中には、「王たちは 争う 一つの玉座巡って 俺たちは絶対 手を貸さない 支配者のゲームになんか 朝から夜まで 全ての時間を 生きてる意味 今感じ 愛し合いたい ・・・俺たちの王は俺たちなんだ」(『世界の王』)という人がいるかもしれないが。

 

1791年の『海国兵談』から1868年の明治維新まで、実に70余年を必要とした。

江戸時代、庶民の暮らしは決して楽なものではなかった。

「(庶民は着物を)古着屋で買うのが一般的だったようです。古着をつぎはぎして大事に扱い、毎日同じものを着ていた場合が多かったようです。すり切れて穴が開けば当て布をして補い、それを何度も繰りかえして着られなくなれば、赤ん坊のおしめや雑巾にし、それがすり減って糸くずだけになるほどまで使い切ったと考えられます」(江戸時代CAMPUS)

そんな江戸時代後期、すでに警鐘は鳴らされていたが、庶民には聞こえなかった。

ペリー提督が、4隻の蒸気船を伴って来航するまでは。

 

だとすれば、戦後70余年「パクス・アメリカーナ」の下で経済高度成長の成果を享受してきた現代の日本人が、「愛国心」「富国強兵」をカビ臭く古臭い「終わったもの」と見做(ミナ)しても不思議ではないのである。

なにしろ、日本人の実感として「貧乏臭くなった平成」でさえも、「イギリス北部出身のある国会議員は、訪日した際に夜の東京をこうこうと照らすネオンや、レストランやバーの外にできた長蛇の列を見てこんな感想を述べた。『これが不況だというなら、うちの選挙区にもぜひ欲しいものだ』」 (『日本、喪失と再起の物語』)というレベルらしいのである。

 

愛国心」「富国強兵」を復活させなければ「これからの日本が危うい」と叫ぶ声は、「ネトウヨが憂さ晴らしをしているだけ」とディスられて、虚しく消えてゆくのである。

「日暮れて道遠し」なのである。

 

暗く凍える長い夜が来るだろうか?

だがその時、明日への導きとなる天空の星々が輝いて見えるに違いない。

断章21

韓国・文在寅政権が掲げる「人権主義」「人道主義」は、ご都合主義の宣伝(プロパガンダ)である。韓国・文在寅政権は、ダブルスタンダードの偽善者である。白く塗った墓である。

 

だから、朝鮮戦争・天安艦爆沈・西海砲撃戦などの戦争犯罪に次々と手を染め、核とミサイルの開発と核恫喝を繰り返し、おぞましい人権抑圧(拷問・処刑・強制収容所)を行う三代世襲の「北朝鮮」に対しては、口を閉ざし目をつむって熱い抱擁を交わし野合する一方で、日本に対しては「人権」「人道」を盾に謝罪と賠償を強要するのである。

 

数百万人を殺した北朝鮮への謝罪要求や賠償請求をしないだけではない。今なお執拗に、開城工業団地金剛山観光を再開して北朝鮮に年間1億5000万ドル(約163憶円)の儲けをもたらそうと試みている。「北朝鮮」による最大の戦争被害国が「北朝鮮」に救いの手を差し伸べているのである。

 

ブルームバーグ通信は文大統領について「金正恩氏の首席報道官」と皮肉り、ニューヨークタイムズ紙も「金正恩氏にとって文大統領ほどの優れた代理人はいない」と指摘した。

 

また、アメリ国務省『人権報告書』によれば、「韓国政府は北朝鮮との対話に乗り出す一方で、(韓国内の)各脱北者団体は韓国政府から北朝鮮非難をやめるよう直接・間接的に圧力を掛けられている」「例えば20年続いた脱北者協会への資金支援を取りやめ、北朝鮮へのビラ飛ばし団体の取り組みを阻止し、警察が(これらの北朝鮮人権)団体を尋ねて金融・行政関連情報を出すよう要請したことが分かった」と具体的事例を挙げた。韓国に居住する3万人の脱北者は、金正恩氏ではなく文大統領がいる韓国で息を殺しながら生活している。

 

米国の北朝鮮人権運動家として知られる北朝鮮自由連合のスーザン・ショルティ代表は4月26日「太陽政策北朝鮮への宥和政策)を行った金大中政権や盧武鉉政権でも一部の北朝鮮人権団体を支援した。ところが、文在寅ムン・ジェイン)政権では脱北者が行う人権関連の活動に対する支援が全て削減された」と指摘した。
4月28日から来月4日まで米ワシントンなどで開かれる「2019北朝鮮自由週間」を前に、ショルティ氏は書面でのインタビューに応じ上記のように主張した。1996年から北朝鮮の人権問題に取り組んできたショルティ氏は脱北者たちから「北朝鮮人権運動の代母」と呼ばれている。
これに先立ちショルティ氏は韓国の北朝鮮人権団体に送った電子メールの中で「北朝鮮の人権のための戦いは今ソウルで起こっている」と指摘したが、これについてショルティ氏は「北朝鮮の実情と韓国における自由のいずれも体験した脱北者たちこそ、北朝鮮の人権問題について最も効果的な主張ができる。しかし文在寅政権は逆に彼らの活動を妨害し、逆行している」との考えを示した。

 

「4月末に米国で開かれる『北朝鮮自由週間』と題するイベントに参加する韓国内の北朝鮮人権団体は最近、紆余曲折の揚げ句、ようやく米国行きの航空チケット代を用意した。毎年4月末にソウルとワシントンを行き交いながら開催される同行事のために費用を支援してきた韓国統一部が、先月突然『支援は不可』との態度を示したことで、ユーチューブなどを通じて辛くも費用を募ったのだ。北朝鮮人権運動の父と呼ばれる自由北朝鮮放送のキム・ソンミン代表に、イベントが『白紙化』される危機を辛うじて乗り切った感想について質問すると、『首の皮一枚つなぎ止めました』と言いながら、政府に対するもどかしさを表現した」(韓国紙)

北朝鮮の人権について知らせる行為を、政府がここまで煙たく思っているとは知りませんでした。金氏政権の暴政を避け、死線を越えてきた脱北者たちは、今後何を頼りに生きていけばいいんでしょうか」と語ったのである。

 

米国外交協会のスコット・スナイダー氏は4月27日米国のラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ」の対談番組に出演し「韓国で(北朝鮮の)人権問題を取り巻く政治的な状況は本当におかしい」「国際社会がやっていることとは正反対だ」などと指摘した。その上でスナイダー氏は「一般的に国際社会において進歩陣営は人権問題に力を入れる。(ところが韓国では)進歩陣営が政権を握っても北朝鮮の人権問題に取り組まないから、このような(おかしな)現象が起こる」と述べた。
スナイダー氏はさらに「韓国政府が北朝鮮の(人権)問題に最も力を入れていたのは、前政権が北朝鮮人権法を成立させた時だ」「ところが文在寅ムン・ジェイン)政権ではこの法律がまともに機能していない」との見方も示した。「これは北朝鮮人権法に基づいてすでに発足しているはずの北朝鮮人権財団が、与党・共に民主党が理事の推薦を先送りしているため今も活動しておらず、文在寅政権になってからは北朝鮮人権財団に対する様々な支援もストップしてしまった」(韓国紙)

 

また、韓国統一部(省に相当)が発行する2019年度版の「統一白書」では「南北対話」ばかりが強調され、北朝鮮の人権に関する部分は大幅に減らされていたことが3月21日までに分かった。米国をはじめとする国際社会は北朝鮮の人権問題を深刻に受け止めているが、韓国は北朝鮮の顔色をうかがいこの問題から顔を背けている。

 

国境なき記者団」は3月22日、韓国与党・共に民主党が米ブルームバーグ通信の記者を実名で非難したことについて「(かつて人権派弁護士だった)文在寅大統領が公の場で共に民主党の論評を批判すべきだ」とする声明を発表した。この問題で沈黙を守っている文大統領に対し、言論の自由を守るために直接の行動を促した。「共に民主党の議長に相当する文大統領はこの問題でのコメントを拒否している」と批判した。

別の外信記者は、「北朝鮮官営メディアが2017年に共和国の尊厳を冒涜したと韓国の記者達を名指しにし、極刑に処すると報じた。(文在寅政権与党の)共に民主党の報道官はブルームバーグの記者が国家と民族を裏切ったと言った。直接的(北朝鮮)、間接的に(民主党)、他の記者も脅威を感じ自己検閲をするようにさせようということだ」と言っている。

 

文在寅政権の与党である「共に民主党」には、どんな連中がいるのだろうか?

「共に民主党のパク・チョン議員や京畿道坡州市のチェ・ジョンファン市長らが3月25日、中国の坡州市内で朝鮮人民軍中共軍の戦死者を追悼する行事に出席していた事実が最近明らかになった。パク議員は3月22日に朝鮮人民軍の軍事挑発で犠牲となった将兵らを追悼する『西海(黄海)守護の日』記念式展には出席しなかったが、一方で朝鮮人民軍の戦死者を追悼する行事には出席していた」(韓国紙)というのである。

あるいは、文在寅大統領の信頼が厚く、「文氏の口」と呼ばれた韓国大統領府の金宜謙報道官は3月29日、官舎に住みながら投機目的で高額のビルを買い入れた疑惑を受けて辞意を表明した。金氏は28日の資産公開でソウル市内の再開発区域にあるビルの購入が判明。疑惑発覚から1日で辞任を公表し、政権へのダメージを抑えた形だ。

「最近、このような人々のことを指す『進歩ジジイ』という新語が登場した。辞任した大統領府報道官がその典型だ。口では『正義』『公正』『平等』と言いながら、裏では特別待遇だと疑われてもおかしくない銀行融資を受けて不動産投機をしていた」(韓国紙)。(金氏は左派系新聞社「ハンギョレ」で社会部長などを歴任し、昨年2月に報道官に就任)

 

「『韓国における言論の自由のための連合』は4月29日、ホームページを通じて文大統領に送った英文の書簡を公開した。書簡には南北関係や北朝鮮の人権問題と関連する活動に力を入れてきた保守系の識者20人が名前を連ねた。
書簡には『前政権においても言論機関を名誉毀損で告訴するケースはあったが、今も表現の自由とは両立しない出来事が起こっている』と指摘した。その具体的な事例として昨年10月に韓国与党・共に民主党議員らがグーグル・コリアに104の映像削除を要請した問題、警察が現政権を風刺したポスターと関連して厳しい捜査を行ったことなどが問題視された。
 文大統領が大統領選挙前、自らを『共産主義者』と批判した高永宙(コ・ヨンジュ)元放送文化振興会理事長を名誉毀損で告訴し、損害賠償を求めたことも批判した。2014年に旅客船セウォル号』が沈没した際、朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領の動きに疑惑を指摘した産経新聞の元ソウル支局長を検察が名誉毀損で起訴したが、当時野党の政治家だった文大統領が『(検察は)間違っている』と発言した事実も書簡では取り上げられた。米国の識者らは『当時、我々はあなた(文大統領)が正しいと考えた』とした上で『そのため文大統領と現政権が評論家や政治的反対勢力を検閲するため、同じ手段を使っていることに大きく失望している』と指摘した。識者らは文大統領に対し、名誉毀損で有罪判決を受けた人たちを赦免し、国会に対しては事実関係を取り上げたことによる名誉毀損の告訴などをやめるよう求めた」(朝鮮日報 5/6)

 

かつて「アメリカの要請を受けて韓国もベトナム戦争に出兵している。兵力は延べ37万人、最盛期には5万の兵力をベトナムに展開した。・・・韓国軍の『猛虎師団』がベトナムの民間人に対していかなる残虐行為を行ったのか、きちんと目をむけるべきだろう」(『ビジネスパーソンのための近現代史の読み方』)

ベトナム戦争に派遣された韓国軍兵士によるベトナム人女性へのレイプなどで生まれた「ライダイハン」と呼ばれる混血児の問題を追及するイギリス民間団体「ライダイハンのための正義」は2019年1月16日、英議会内で集会を開いた。参加したライダイハンの男性は、「慰安婦問題で日本を攻撃する韓国政府は、韓国人がベトナムで行った性暴力に頬かむりするな」と述べた。

 

ベトナム戦民間人虐殺事件の真相究明を要求する声は、民間団体を中心に絶えず続いているが、韓国政府は未だに黙殺しており無返答である。

 

これが韓国・文在寅政権の、ダブルスタンダードであり、真の姿である。