断章459
明治維新後の新政府で、薩摩 (さつま) ・長州・土佐・肥前の4藩、特に薩長2藩の出身者が中心となり閥(ばつ)をつくって行った政治を藩閥政治という。藩閥エリートたちは、血風すさぶ幕末・明治初期をくぐり抜け、食い詰めた下級武士出身者もいたので、政治・戦争の勘所を心得ていた。
彼らの後を継いだ昭和エリートになると、ほとんどが“学校秀才”になる。知識があり、理論は知っていても、その応用などは不得手である。「枠をはみ出すことなど考えられず、思考様式がタコツボ化しているのです。これでは、新しい時代の枠組みなど、構築できるはずがありません」(池田 博男)。
そして、平成・令和の日本のエリートは、ほとんどが“上級国民”的世襲文化のなかで育った“ぼんぼん”や“嬢ちゃん”たちである。彼ら彼女たちは、生活苦にあえいだことがない。「明日のパンを買う金がない」という困窮に落ちたことがない ―― インテリの大半も同じ穴のムジナに違いない(たとえば、白井 聡?)。
平成・令和の日本のエリートたちやインテリたちは、生計の道を断たれて生活に困ったことがない。涙とともにパンを食べたことがないから、“本当”の世界=社会=人生の味「しょっぱさ」を知らないのである。
すると、しごく簡単に、「日本が主導する第8回アフリカ開発会議(TICAD)が27日(日本時間同)、チュニジアの首都チュニスで開幕した。岸田 文雄首相は開会式にオンラインで出席し、今後3年間で官民合わせて総額300億ドル(約4兆1千億円)規模の資金を投入すると演説。アフリカを『共に成長するパートナー』と位置付け、『人への投資と成長の質を重視する』と表明した。
途上国を借金漬けにして支配を強める『債務のわな』や、環境・人権への配慮を欠く開発支援が指摘されている中国との違いをアピールした形。首相は、持論の『成長と分配の好循環』で強靱なアフリカを実現したい」(2022/08/27 共同通信)と決断するようになる。
結果は、見えている。砂漠に水を撒くようなことになるだろう。
もちろん、「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナルブロガーで検証・解説者の不破 雷蔵の注記、すなわち「この類の支援には外貨準備高(通貨当局が為替介入に使用する資金。あるいは通貨危機などにより他国に対して外貨建て債務の返済が困難になった場合などに使用する準備資産。日本では財務省と日本銀行が保有。外貨のため、日本国内では使用ができない)が使われますので、YAHOOコメントで指摘されているような税金云々との話とは別物です。
また、外務省の公開ページで確認した限りでは、譲渡ではなく、低利の円借款(貸出)となります。なお財務省の発表によれば、2022年7月末時点における外貨準備高は1,323,034百万ドル(180兆8928億6355万円)で、そのうち証券は1,064,930百万ドル、預金は137,623百万ドルなどとなっています」は正しいのだろうし、事業費の多くは大手商社や大手ゼネコンのアフリカ事業を通じて日本に還流するかもしれない。
しかし、内ポケットから出そうが右手の財布から出金しようが、本来、国民のカネであることに変わりはないし、還流する前に巨額のカネがどこかに“蒸発”することも間違いなさそうである。