断章407

 「ならずもの国家」が調子づく苛酷な世界は、暗い。世界の安全保障環境は大きく変容し、わたしたちは1930年代型危機に直面している。

 

 「赤十字国際委員会(ICRC)は7日、ロシア軍が包囲したウクライナの都市マリウポリで、民間人を避難させる『人道回廊』とされた道路に地雷が埋設されていたため、人々が避難できなかったことを明らかにした。

 ICRCのドミニク・シュティルハルト事務局長は、英BBCラジオに対し、マリウポリ入りしている職員が6日、民間人退避に向けて準備していたところ、『最初の検問所に到着すると、指示された道路に地雷が埋設されているのが分かった』と述べた」(2022/03/08 AFPNEWS)。

 

 「タス通信によると、ロシア政府は7日、ロシアのウクライナ侵攻に関連して対ロ制裁に踏み切った国・地域を『非友好国』に指定し、リストを公表した。欧米などの制裁に同調した日本も含まれた。

 『非友好国』とされたのは米国、英国、(EU)加盟国のほかカナダ、オーストラリア、シンガポール、台湾など。非友好国の指定は大統領令に基づく。指定された国・地域の企業などから投資を受ける事業の契約締結にはロシア政府側の許可が必要になるほか、政府や自治体、企業を含むロシアの債務者は、指定された国・地域の債権者に対しては(引用者注:暴落して紙屑化した)ロシアの通貨ルーブルによる債務返済が可能になる」(2022/03/07 共同通信)。

 

 「米NBCテレビ(電子版)は7日、北朝鮮北東部の豊渓里核実験場で、新たな建物の建設や施設を復旧している可能性のある動きが衛星画像で確認されたと報じた。画像は4日のもので、専門家は核実験場の修復につながる動きとみて警戒している」(2022/03/08 時事通信)。

 

 「中国の王 毅外相は全国人民代表大会全人代)に合わせて記者会見を開き、日中関係について『3つの忠告』を持ち出して日本を牽制した。王 毅外相は記者会見で、・・・『日中関係は依然として分岐と挑戦に直面している』との認識を示した。・・・3つ目の忠告では『世界の多極化や国際関係の民主化が、一国主義や覇権主義に取って代わるのは時代の必然だ。冷戦同盟や地政学的な対立では支持を得られない。火中の栗を拾うのはやめるべきだ』ともしていて、米中対立が激化するなかで、日米同盟の強化を牽制したとみられる」(2022/03/07 ハフポスト日本版)。

 

 この闇夜を照らす灯りは、ある。

 「ロシアによるウクライナ侵攻について、ノーベル賞受賞者160人以上が連名でロシアを非難する公開書簡を出した。2000年に化学賞を受賞した白川英樹・筑波大名誉教授ら複数の日本人受賞者も加わり、賛同者は続々と増えている。

 書簡の発起人の1人となっているのが、1981年にノーベル化学賞を受賞したロアルド・ホフマン氏。ホフマン氏は、現在のウクライナ西部の生まれ。ナチスドイツによる迫害で幼いころに父親を亡くしながらも、屋根裏部屋などで生き延びた経験をしています。

 書簡は『プーチン大統領らが始めた戦争は不当で、残虐で、何も生み出さない』と批判、侵攻の停止と撤退を求めている」(2022/03/02 読売新聞オンライン)。

 「在日ウクライナ大使館は7日、ロシアに侵攻された同国の被害者支援のための寄付金が、40億円近くに達したと発表した。2月25日に開設した口座に日本の人々から届いた募金の合計で、約15万人から寄せられたという。大使館の公式ツイッターで公表した」(2022/03/07 スポニチアネックス)。

 

 日本の政治家もこれに学ぶべきだ。

 2021年分の政党交付金は、およそ79億円だった。受領した政党は、全額を〈国防〉のために拠出すべきである。少額でも良い。身を削り、決意を示すことから始めよう。