断章468

 わたしは、日本は〈富国強兵〉〈殖産興業〉に邁進しなければならないと主張する。すると、どこかで、「明治時代かよ」とか、「古典的帝国主義時代の提案だな」という声がする(ような気がする)。

 しかし、21世紀といえども、戦場としての世界でいま起きていることは、「国連のウクライナ調査委員会を率いるエリック・モーセ委員長は23日、ロシア軍が占拠したウクライナの一部地域で性的暴行や拷問、処刑、子どもの監禁などの戦争犯罪が行われたと発表した。

 国連人権理事会で『委員会が集めた証拠に基づき、ウクライナ戦争犯罪が行われたと結論づけた』と述べた。何件の戦争犯罪が行われたかは言及しなかったが、その後のインタビューでは、ロシアによって『数多くの』犯罪が行われた一方、ウクライナによるものはロシア兵の虐待に関する2件のみだったとした。ロシア側は理事会を欠席した。ロシア政府からの公式な見解も現時点で得られていない。ウクライナ検察当局もコメント要請に応じていない。 調査委は27カ所を訪問し、キーウ、チェルニヒウ、ハリコフ、スムイのこれまでロシアが占拠していた地域で150人以上の被害者や目撃者にインタビューを実施。手を縛られた遺体や喉を切られた遺体、頭部に銃弾を受けた遺体など多くの処刑が行われた証拠を発見したほか、性的暴行を受けた4歳から82歳の被害者も特定したという」(2022/09/24 ロイター通信)。

 あるいは、「国連ウクライナ人権監視団のボグナー団長は11日までに、ウクライナに侵攻したロシアが拘束した戦争捕虜に虐待や拷問を加えていることを確認したと発表した。ロシアは監視団に捕虜収容施設の調査を認めていないと批判。水や食料、医療が適切に提供されていない施設があると訴えた。

 ボグナー氏によると、ロシアは多くのウクライナ人捕虜に対し、家族に収容場所や健康状態を伝えることも禁じている。妊娠した女性らも拘束しており、人道的見地から即時解放するよう求めた。ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派支配地域オレニフカの捕虜収容施設では、A型肝炎結核などの感染症がまん延しているという」(2022/09/11 毎日新聞)ことである。

 その他にも、ロシアは、「ウクライナから数十万トンの穀物を強奪した」とか、「米シンクタンク、戦争研究所は23日、激戦の末にロシアが5月に制圧したウクライナ東部ドネツクマリウポリから千人以上の子どもがロシア・シベリアに移送され、ロシア人家庭で養子になっているとの分析を発表した。養子受け入れを決めた市民には補助金が支払われ、当局は300人以上の子どもが『新しい家族に会えるのを待っている』と宣伝しているという。具体的な移送先として、チュメニ、イルクーツク、ケメロボ、アルタイ地方を挙げた」(2022/08/24 ロイター通信)という記事がある。

 さらには、「ウクライナ東部と南部のロシア軍占領地域で始まった『ロシアへの編入』を問う親ロシア派勢力の住民投票について、ウクライナ参謀本部が『ロシア側が武器で住民を威嚇し、精神的な圧力をかけて投票への参加を強制している』と非難しました。一方、ロシアではプーチン大統領の号令による予備役兵の動員が進んでいますが、国外脱出の動きが伝えられるなど、混乱も起きています」(2022/09/25 朝日新聞デジタル)ということである。

 NHKの石川解説委員が、「プーチン大統領は、ロシアへの占領地の編入を考えていると思います。大統領の意図がわかるのは、クレムリンの内政担当の第1副長官キリエンコ氏がたびたび占領地を訪問していることです。内政担当の第1副長官というのはクレムリンの動向を見る上で最重要なポストで、プーチン体制の内政を取り仕切っています。キリエンコ氏は有能な行政官としてプーチン大統領に評価信頼されています。

 もともとはリベラル系で首相も務めたキリエンコ氏ですが、今はロシア愛国主義を前面に出しています。『ロシアは占領した土地を手放さない』として住民へのロシアパスポートの交付やルーブルへの切り替えを進めています。……キリエンコ氏はプーチン大統領と直接接触できる数少ない側近で、プーチン大統領が占領地のロシア編入を考えているとみて間違いないでしょう」と言ったのは、すぐる7月28日のことだった。

 〈富国強兵〉〈殖産興業〉に邁進しなければ、戦場としての世界で日本が生き残ることはできないのである。