断章283

 「ロイターの集計によると、新型コロナウイルスの感染者は世界全体で1億1278万人を超え、死者は260万5848人となった。

2019年12月に中国で最初の症例が確認されて以来、210を超える国・地域で感染が報告されている」(2021/02/25 ロイター通信)。

 

 さらに厄介なこともある。

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に猛威を振るうなか、あらゆる薬剤に耐性を持つこともあるスーパー(超多剤)耐性菌『カンジダ・アウリス(カンジダ・オーリスとも)』の感染が一部で拡大していると、医師たちが警鐘を鳴らしている。カンジダ・アウリスは特に院内感染で広がりやすく、今年(2020年)はコロナ患者であふれる医療現場に大きな負担がかかっているためだ。

 カンジダ・アウリスは、シーツ、ベッドの手すり、ドア、医療器具などに付着して長時間生存し、そこに人の手が触れると感染が広がる。また、カテーテルや人工呼吸器、流動食など、体内へ管を挿入するときに感染するリスクが高い。コロナで入院した患者は、呼吸器系がやられるため、こうした措置を受ける機会も多い。

 『残念なことに、一部の地域でカンジダ・アウリスが拡大しています』と、米疾病対策センター(CDC)の真菌症部長トム・チラー氏は言う。『救急病院やコロナ病棟にまで広がっているところもあります。いったん感染が発覚すると、完全に取り除くのが難しいので、非常に心配です』。

 カンジダ属の真菌は、もともと舌や性器に白い斑点ができる程度の軽い症状を引き起こすことで知られていた。ところが、カンジダ・アウリスは09年に帝京大学の槇村浩一教授らが初めて報告してから、少なくとも40カ国で報告され、数千人の感染者が出ている。日本型の病原性は低いものの、致死率が30~60%に上るタイプもある。

 薬剤に耐性を持つ菌は、カンジダ・アウリスだけではない。既に世界では、数百万人が様々なスーパー耐性菌に感染しており、カンジダ・アウリスの感染拡大はその危機をさらに悪化させる恐れがある。19年、CDCはカンジダ・アウリスを米国の薬剤耐性菌のなかでも最大級の脅威と位置付けた。今年は8月末までに、米国内で1364件の感染が確認されている。18年全体の感染者数と比較して4倍強だ。〈中略〉

 2019年、世界保健機関(WHO)は薬剤耐性菌を人類の健康に影響を与える10大脅威のひとつに挙げ、今や簡単に治療できるようになった結核や淋病すらも制御できない世界へ逆戻りしてしまうのではとの懸念を示した。世界的に家畜や人間の医療現場で抗菌薬を乱用したことが、スーパー耐性菌を誕生させたといわれている。だが、ワシントン特別区にある疾病動態経済政策センター(CDDEP)の設立者で代表者のラマナン・ラクスミナラヤン氏は、気候変動によって真菌感染症が将来さらに拡大するだろうと予測している。〈中略〉

 『抗生物質が効かない細菌が増えているように、抗菌薬が効かない真菌も人類を脅かすようになるかもしれません』とラクスミナラヤン氏は警告する。多剤耐性結核菌や、北米を中心に症例が急激に増えているクロストリディオイデス・ディフィシルなどの強力な細菌は、米国で年間280万件というスーパー耐性菌感染症の99%を占め、死者はおよそ3万5,000人に上る」(2020/11/23 日経ナショナル ジオグラフィックから引用・紹介)。

 

 そしていまだに、アフリカなどの後進国、例えば「アフリカ中部のコンゴ民主共和国で麻疹(はしか)が流行しており、今年に入ってこれまでに5,000人以上が死亡した。世界保健機関(WHO)が27日、明らかにした。この数は、同国におけるエボラ出血熱による死者数の2倍以上に当たるという。

 WHOの予防接種部門を統括するケイト・オブライエン氏はスイス・ジュネーブで記者らに対し、同国での麻疹の流行規模は『世界最大』であり、『われわれがこれまでに経験した中でも最大規模』だと述べた。

 WHOによると、同国で記録された症例数は11月17日の時点で25万270件。うち5,110人が死亡したという」(2019/11/29 AFP)。

 

 先進国といえども、麻疹(はしか)といえども、警戒を怠ってはならない。というのは、「風疹(三日はしか)は皆さんもご存じの通り、妊娠初期に妊婦さんが感染してしまうと胎児へウイルス感染が起こり、難聴や白内障、心疾患、発育遅延など先天性風疹症候群といわれる赤ちゃんが生まれる可能性があります。日本では2003年から2004年に局地的に風疹が流行し、つらいことに先天性風疹症候群と診断された赤ちゃんが10名もいました。

 報道機関や医師、患者会による啓蒙活動もあり、風疹と妊娠に関しては世間の理解も進み、妊娠前に抗体価を確認される女性も増えています。〈中略〉

 では、麻疹ですが、昨年末も沖縄や大阪で局地的な流行がありました。

 麻疹は非常に感染力が強く、風疹が飛沫感染(唾液のしぶきなどで感染する)するのに対し空気感染します。空気感染とは、感染者と同じ空間にいるだけで感染し、マスクなどでは予防できません。妊娠中に麻疹に感染すると、症状は重症化することが多く、また流・早産の頻度が上昇すると報告があります」(IVFなんばクリニック)。

 さまざまなパンデミックが連続する時代に備えよう。