断章67

 世界から「硝煙の臭い」が絶えたことはない。

 「米国とソ連は冷戦期を通じて直接戦火を交えることを互いに思い止まる一方、その敵意は同盟国、属国、代理国家による戦争にはけ口を求めた。それゆえ前例のない大国間の平和の裏で、小国間の絶え間ない熾烈な戦争があり、1948~91年の冷戦期の間に144回もあった」(『戦略論』)のだ。

 北海道のすぐ隣にいる熊さんは、強気である。

 「ロシアは、これまで『強い国家』や『影響力ある大国』を掲げ、同国の復活を追求してきたプーチン大統領が2018(平成30)年3月に再選され、軍の即応態勢の強化や新型装備の開発・導入を推進すると同時に、核戦力を引き続き重視していくものと考えられる。

 歳出の削減が幅広く行われる中においても国防費の確保に努め、軍の近代化を継続しているほか、最近では、アジア太平洋地域のみならず、北極圏、欧州、米国周辺、中東などにおいても軍の活動を活発化させ、その活動領域を拡大する傾向がみられる。 具体的には、欧米などから、ロシアは、自らの勢力圏とみなすウクライナにおいていわゆる『ハイブリッド戦2』を展開して、力を背景とした現状変更を行ったとみられており、欧州諸国が強く懸念するのみならず、アジアを含めた国際社会全体に影響を及ぼし得るグローバルな問題と認識されている。また、ロシアは、シリアのアサド政権を擁護するかたちでシリア内戦への介入を行うなど、国際的影響力拡大を企図した動きをみせている。

 極東においては、新型のフリゲート(ステレグシチー級)や戦闘機(Su-35・Su-34)などの配備が進められ、18(平成 30)年は大規模演習『ヴォストーク2018』も実施予定。

 また、北方領土択捉島国後島)への地対艦ミサイル配備を公表したほか、択捉島の民間空港の軍民共用化や同島への戦闘機の展開を行うなどその活動を活発化。ロシアはわが国周辺を含め軍事活動を活発化させる傾向がみられ、その動向を注視していく必要がある。」(2018/9 防衛白書平成30年版ロシア項目から要約)

 

 「ロシアが米国に対抗する核戦力の拠点とするオホーツク海への敵艦隊侵入を阻むため、北方領土と千島列島で進める2019年の軍備計画の概要が2日、判明した。千島列島で二つの島への新型地対艦ミサイル『バスチオン』(射程300キロ以上)配備を明記しており、極東カムチャツカ半島から北海道に至る『防衛線』を射程に収める計画が近く完成する」(2019/9/2 共同通信)。

 「ロシアのプーチン政権が極東地域への中距離ミサイル配備に乗り出す構えをみせている。米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効を受け、米国が中距離ミサイルのアジア配備に言及したことへの対抗や、日本が米国から導入する地上配備型迎撃システム『イージス・アショア』への警戒が背景にある。中距離ミサイル戦力で優位に立つ中国を巻き込んだ駆け引きが活発化しそうだ。

 プーチン大統領は8月5日の声明で、米国が新たな中距離ミサイルを開発した場合は『ロシアも同様のミサイルの本格的な開発に着手せざるを得ない』と警告した。これに先立ち、リャプコフ外務次官は米国がアジアに中距離ミサイルを配備すれば『脅威に対抗するための措置をとる』と説明した。

 リャプコフ氏は日本のイージス・アショアについて攻撃に転用可能と主張した。中距離ミサイルの配備場所については明言を避けたが、米国の同盟国で多数の米軍基地が立地する日本や韓国を射程に置く極東地域が有力視される」(2019/8/6 日本経済新聞)。

 

 (平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した)「日本国民の多くが善意を持って世界を眺めているつもりでも、世界の現実を理解しようとする努力を怠れば、そのいうところは机上の空論にすぎなくなる。そのために、日本の周辺地域の安定や、日本国民自身の安全をも、きわめて危いものにしている事実を認識すべきである」(崔 基鎬)。

断章66

 庶民の暮らし向きは、相変わらずカツカツである。

 庶民から寄せられた家計の悩みに回答する「マネープランクリニック」には、以下のような家計相談が目白押しである。

「43歳貯金50万円。子どもの進学が迫っていますが、教育資金が足りない」

「39歳、夫に病気が見つかり、家族が共倒れになる前に相談させてください」

「37歳貯金0、夫がうつ病で無職。月23万円あれば…」

「36歳子ども2人。貯金ゼロで毎月7万円以上の借金返済」

「45歳貯金200万円。遺族年金と月収6万円で老後は?」

「50歳月収16万円、月1万円の貯金。妻は体が弱く働けない」

「34歳貯金1000万円。病気が再発しそうで正社員で働く自信がありません」

 内容をみれば・・・「今回の相談者は、3人のお子さんを抱える32歳の主婦の方です。

 Q:貯蓄がなかなかたまらない。老後資金は勿論、特別出費や家の維持費などに貯金が回せない。ボーナスはないし、退職金制度もないので将来が不安です。今年から固定資産税の支払いも始まるし、かといって、真ん中の子どもは幼稚園に通い、末っ子を他の託児所や保育園に通わせてパートに出るのは逆にマイナスかプラスマイナスゼロな気がして収入が増やせません。これから教育費もかかってくると思うと不安しかないです。」など悲鳴に近いものもある(ウツを発症して苦しんでいる例が多い)。

 「厚生労働省が9日発表した2019年5月の毎月勤労統計(速報、従業員5人以上の事業所)によると、基本給や残業代などを合わせた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は前年同月比0.2%減の27万5597円だった。物価の影響を加味した実質賃金は1.0%減で、名目、実質ともに5カ月連続のマイナスとなった。」(2019/7/9 共同通信

 少しはゆとりがあっても、「家計で必要な消費や経費を差し引いた後に残るお金の比率を示す『黒字率』が上昇している。総務省が8日発表した家計調査によると、2018年の家計黒字率(2人以上の勤労者世帯)は00年以降で初めて30%を超えた。働く女性が増えて家計収入を押し上げている一方、不要不急の消費を控えてお金をためている家計の動きを示す。」(2019/2/8 日本経済新聞

 生活防衛に汲々とせざるをえない現実があるのだ。

 

 「平成時代に入ってバブル経済が崩壊し、雇用形態は大きく変わり始めました。年々増えていったのが非正規です。政府によると非正規社員の数は約2100万と、いまや労働者全体の4割近くを占めます。(中略)

 非正規社員の特徴をまとめると短時間労働、有期契約、転勤がない、というのが一般的です。近年、企業は人件費を抑制するため、雇用調整のしやすい非正規社員を増やしました。子育てや親を介護するために短時間勤務を望む人が増えていることも背景にあります。

 非正規社員の増加は多くの問題を引き起こしています。

 まず賃金格差です。2018年の賃金構造基本統計調査によると正規社員の平均賃金は月32万3900円、非正規社員は20万9400円です。正規社員には労働時間が長い、転勤を伴う、といった理由があるとはいえ、それだけでは説明できない『不合理な格差が目立つ』と弁護士の上柳敏郎さんは指摘します。

 そこで政府は働き方改革関連法に基づき来年4月から正規、非正規の賃金の均等化、均衡化を図ります。これが同一労働同賃金の原則です。

 労働者災害補償保険雇用保険、健康保険、厚生年金保険の加入問題もあります。非正規社員の中には加入要件を満たすのに『会社が加入を怠っているケースも依然目立つ』と社会保険労務士井上大輔さんは話します。

 例えば雇用保険は『週労働時間が20時間以上』といった基準を満たす社員を被保険者として加入させる必要があるのに加入させないケースです」(2019/8/24 日本経済新聞)。

 

 自ら積極的に食事・睡眠・健康管理に力を入れ、法律・支援制度のことも知り、視野を広げ新たなスキル・仕事・環境に挑戦しなければ、グローバル経済・AI自動化経済の時代を生き抜いていくことはできない。ストレスフルでもそれが現実なのだ。

 

 レオス・キャピタルワークスの藤野 英人は、こう言っている。

 「うつむく必要はない。日本では、この国の未来を悲観的に語る人が少なくありません。私には、多くの人がうつむいているように思えます。しかし日本はGDPの世界ランキング第3位の大国であり、その強さは簡単に崩れるものではありません。

 これほどのベースを持ち、安全で、美味しいご飯が食べられ、働く機会もたくさんあり、やる気があれば資金を提供してくれる人もいます。日本の中で挑戦心を持っている人は、『世界最強』と言ってもいいのではないかと思います。そんなにうつむく必要はないのです。

 日本がつまらない、息苦しいなどと感じるなら、アジアで挑戦するのもいいと思います。実際にVIP(ベトナムインドネシア・フィリピン)で頑張っている人は少なくありません。

 たとえばベトナムではいま、『ピザ フォーピース』というピザのお店が大人気。『平和のために』という名前のこのお店を経営しているのは、ベトナムに移住した日本人夫婦です。

 現地においしいチーズがないからとベトナムで自家製チーズまで作るこだわりようで、そのおいしさが評判を呼び、現地の人はもちろんベトナムに滞在する日本人や欧州の人々も魅了しています。同じくベトナムで大人気の『FUWAGORI(フワゴオリ)』という名前のかき氷店も経営者は日本人で、今後はアジアの国々への展開を視野に入れているといいます。

 うつむきがちになっている人や煮詰まっている人は、一度アジアの国々に出かけみてもいいかもしれません。のんびり観光でもしながら、自分を見つめてみるのです。そこには成長する国の姿があり、一方では日本の素晴らしさを改めて感じることにもなるでしょう。

 『日本にまだまだ自分が活躍できる場があるんだ』と気づくのか、それとも『アジアに出て働いてみよう』という気持ちになるのかは、みなさん次第です」。

 

 「自らの力を信じ、自ら決する者だけが、道を切り拓いてゆける。国も同じであることを、歴史は語っている」(岡田 英弘)。

 

【参考】

 「周囲の人とは違う(貧乏な)境遇で育ち、せつない思いもあったけれど、自分の得意な勉強に打ち込み、実績を作った。そして、何よりそれを成し遂げた自分を信じることが『自信』につながった。コンプレックスはそう簡単に拭い去れるものではないかもしれないが、乗り越えた自分の存在を信じて日々を過ごしている」

(クイン・エマニュエル外国法事務弁護士事務所 東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン)。

 

【参考】

 「Q:(人生100年時代でも)一向に変わらない企業や国家に対し、個人は何をすべきなのでしょうか。いくら『人生100年時代』に応じた動きをしようとも、制度が変わらなければ大変だと思いますが。

 グラットンA:一向に変わらない企業に対して、異を唱える人が増えてくれば、次第に企業は変わっていきます。だから、個人として、会社に対する不満を示す一つの方法は、会社を辞めることなのです。ただ当然ながら、こうした戦略を取るためには、自分が労働市場で通用する人材でなければなりません。そこで、自分のキャリアを常に考え、新しい知識やスキルを獲得することが求められるのです。(中略)

 本来は企業や国家のリーダーが気づき、『人生100年時代』にふさわしい制度改革を進めるのが望ましい形です。しかし、それはすぐには進みませんから、しばらく個人として交渉力を強めていくしかないのです。オートメーションが進み、寿命が伸びた現代においては、われわれは学び続けなければならないのです」(『未来を読む』)。

断章65

 『立ち直れない韓国』(2014年・扶桑社刊)の「はじめに」では、「韓国がしきりに日本に押し付ける、いわゆる『正しい歴史認識』は、決して真実の歴史でない。それは中華の史観と史記の捕虜(トリコ)になって振り回される以外のなにものでもなく、韓国の国是としての『歴史を立て直す』ための創作であり、ファンタジー」(4頁)だと断定している。

 

 例えば、“檀君王倹”である。

 『検定版 高等学校韓国史』には、「族長社会で最初に国家へと発展したのが古朝鮮だ。古朝鮮をたてた中心勢力は、桓雄部族と熊部族だった。二つの部族が連合して誕生した支配者・檀君王倹は、祭祀長として政治的支配者を兼ねた」と、さりげなく《史実》のように書いてある。

 韓国が、ファンタジーを《史実》のように書くのは、「朝鮮民族」の歴史は中国や日本よりも古く、今よりもはるかに広大な領土を有する「偉大な民族」であったと誇りたいためである。官製民族主義だからである。

 

 「北朝鮮」も檀君王倹を始祖とする。あからさまに、こう言っている。

「日本の荒唐無稽な建国神話によっても、やつらの国家起源年代は紀元前660年をさらに越えることはできないが、我々の檀君神話や檀君に関する記録によれば、朝鮮の建国年代は紀元前2300年まで遡る。かくして日本の歴史が朝鮮より1600年以上も短いものとなり、したがって自ずから文化もその分だけ劣ったものとなる」(1993年8月、訳・古田 博司)。

 

 岡田 英弘は、こう評している。「韓半島では、最初の歴史書三国史記』から約100年後の13世紀になって、『三国遺事』という本が書かれた。これは、一然という坊さんが書いた本だが、このなかに、檀君という朝鮮の建国の王の神話があらわれてくる。この檀君は、天帝の息子で、それが地上に天下って、中国神話の帝堯と同時代に朝鮮に君臨し、1500年間在位して、1908歳の長寿を保ったということになっている。ご記憶の方もあるかと思うのだが、北朝鮮金日成主席は、1994年7月8日に死んだ。その直前、この檀君の墓が北朝鮮で発見されたという報道があった。墓のなかには、身長が3メートルぐらいで、玉のように白くて美しい、巨大な人骨があったという。当時、朝鮮民主主義人民共和国が国力を傾けて、莫大な金をかけて檀君陵を建造したが、陵ができ上るのとほとんど同時に、金日成が死んでしまった。なぜ、神話中の登場人物である、檀君の遺骨をわざわざ見つけたか。それは北朝鮮の国是である主体思想のせいなのだ。朝鮮の起源は、中国に匹敵するぐらい古い。しかも、中国文明とは無関係に成立していたんだ、ということを言いたいがために、そういうものをつくったのだ」(Wiki)。

 

 韓国も「北朝鮮」も今は“檀君王倹”をかつぎ祀っているが、中国への“事大主義”を続けていれば、やがては中国から厳しく咎められ、“檀君王倹”をコッソリ教科書から消すはめになるだろう。その予兆はすでにある。

 「中国は、朝鮮戦争時に韓国軍が中共軍に勝利した戦いを記念して命名された『破虜湖』という名称を『気分が悪い』という理由で改名を要求した。そのほかにも、高句麗の将軍・楊万春(ヤン・マンチュン)と唐の太宗の戦いを題材にした韓国映画『安市城』に対し『中国の英雄を侮辱している』として抗議したといわれている。破虜湖から『安市城』に至るまで、韓民族の勝利の記録を中国側の思い通りに変えろというのだ」

 「中国の要求は、駐中韓国大使館など外交チャンネルはもちろん、江原道や華川郡など自治体にも伝えられた」(2019/5 韓国紙)。

 

【参考】

 「日本では、善意から日韓親善や日朝親善を願っている人々もいるが、それらの人にしても隣国の歴史について無知であるから、善意は衝動的なものであって、それを支える深みがまったくなく、自分を満足させるものでしかない。これはむしろ、韓国民にとっても日本国民にとっても危険である」(崔 基鎬)。

【参考】

 日韓歴史共同研究委員会のメンバーである永島広紀は、こう語っている。「韓国では“史実”として扱われている5000年前の朝鮮民族の始祖とされる檀君についても、(引用者注:韓国の学者は)オフレコでは『そんなもの誰も信じていませんよ』と軽口を叩く。しかし、記録が残る場では絶対にそんな発言はしない。対日的な場での“言論の自由”がない国なんです」(Wiki)。

断章64

 1991年に崩壊したソ連邦を支配していたのは、ノーメンクラトゥーラと呼ばれた特権階級だった。ノーメンクラトゥーラに都合の悪い諸文献(例えばトロツキーブハーリンのもの)は、「国禁の書」であった。

 レーニンの『ブハーリン 過渡期経済論 評註』は、スターリン派がブハーリン派を粛清するために利用するべく1929年に発表されたが、当の『過渡期経済論』そのものは、「国禁の書」だから読むことができないというチグハグぶりだった(笑い)。

 

 嘘か誠か、わたしには確かめるすべが無いのだが、韓国で『反日種族主義』という本が売れているそうである。パク・ユハの『帝国の慰安婦』のような顛末(テンマツ)になるか、見届けよう。

 黄 文雄の『立ち直れない韓国』(2014年・扶桑社刊、1998年の同名著作に加筆)を、当時の韓国で出版すれば、どう扱われただろうか。そもそも出版が無理。それとも出版後に“発禁処分”だろうか。あるいは、ブハーリン『過渡期経済論』のような扱いをされただろうか。

 

 本書について(一部ネタばれになるが)、あるアマゾン・レビュワー(LAW人)は、「個人的に興味を惹いたトピックを幾つか紹介したい。まずは韓国側の『歴史認識』に言う『日帝』の『七奪』について、その『日帝』(朝鮮総督府)が行った近代化、李朝時代から続く『身分階級制度』の廃止、『奴婢解放』、戸籍の整備、『創氏改名』の歪曲など、読み応えがある。中でも韓国歴史家の格好の批判対象となる『創氏改名』については、著者は真っ向からこれに反駁し、『身分階級制度』から『最下級』の人間に『姓氏』が許されなかったことなどを高麗朝の歴史から『創氏改名』の事実を説きつつ、『日帝』の行った『身分階級制度』の廃止と『創氏改名』の歴史的意義を指摘、韓国の『歴史認識』について、『なぜ“姓氏”差別をした 李朝を直視しないのだろうか』と指弾している。高麗朝からの中国王朝に阿諛(アユ)するような『創氏改名』の事実や地域差別など、韓国の『歴史認識』の独善を1つずつ反駁し、『七奪』を『七恩』と結ぶのが極めて興味深い」(前後を省略)と評している。

 

 さて、2014年本書出版当時の韓国大統領は、朴槿恵(パク・クンヘ)である。なので、「はじめに」の初っ端から、朴槿恵(パク・クンヘ)のおでましである。

 「朴槿恵大統領になってから、しきりに独善的な『正しい歴史認識』を日本に押し付け、しかも『告げ口』の世界行脚、さらに日本に対する『千年の恨(ハン)』と公言している」(1頁)。

 

 うちの死んだ祖母さんは、いかにも百姓女らしく、「コメの一粒は、百姓の汗の一滴。飯茶碗のご飯粒は、一粒も残すな」と言っていたが、誠に“神仏”の好きな人であった。「塀の中に落ちた」朴槿恵を見たら、「日本の悪口ばっかり言ったから、罰が当たった」と言っただろうか。

 お馴染みのエドワード・ルトワックも辛辣(シンラツ)である。

 「2015年の後半、習近平の訪米直後に、朴槿恵大統領が訪米したが、合同記者会見の席で、オバマ大統領はボディー・ランゲージで怒りを露わにしたのである。『中国は(南シナ海で)国際的な規範を守るべきだ』と説いたのだ。まるで中国のメッセンジャーであるかのような朴大統領の行動を非難したのである。

 この時のCNNの報道映像は、とても象徴的なものであった。というのも、このニュースの前後の画像に、朴大統領が同年の北京の抗日戦争勝利70周年記念の軍事パレードに参加して、他の独裁国家の首脳たちと並んでいる様子が映されていたからだ。そこにはカザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領やロシアのプーチン大統領と並んだ朴大統領の姿があった。オバマ大統領は、『君は独裁国の首脳たちと一緒にいたわけだから彼らのメッセンジャーガールだ』とみなした上で、彼女の前で『われわれは中国の勝手な行動をゆるさない』と主張したのである。(中略)

 大国同士の首脳が会談するときは、その立場は対等であるべきだ。中規模国家も、なんとか同じような立場をとるべきだろう。しかし、朴大統領が北京に到着したら、本来ならば小国の代表として、両国の懸案事項である漁民の扱いなどの問題を持ち出して、北京に対していろいろと不満をぶつけて要求するべきだったのだ。

 小国にふさわしいのは、イギリスの首相が訪米した時にもわかるように、ひたすら要求を主張していく態度だ。要求ばかりを並べた、イスラエルのビンヤミン・ネタニヤフ首相のオバマ大統領に対する態度からもわかる。これが小国が生き残るためのルールなのである。

 ところが朴大統領は習近平に対して何をしたか。何とハルビン駅に、伊藤博文を暗殺した安重根の記念碑を建てることをお願いしたのである。これは習近平に対する、彼女なりのメッセージではあった。『あなたは日本が嫌いで、私も日本が嫌いだから、小朝鮮のお願いを聞いてよ、われわれは兄弟なんだから』と。英語で言えばcurrying favor′ つまり『ごきげんとり』である。

 ここで本来、彼女が要求すべきだったのは、暗殺者の記念碑の建立ではなく、漁船が我が国の領海に侵入するのを取り締まってくれ。我が国の漁民や海洋警察を殺すのは止めてくれ、ということだ」(『中国4.0』 文春新書)。

 

【参考】

 「ノーメンクラトゥーラは、ソ連邦の支配階級であり、絶対的権力を独占していた。この“新しい階級”に生命を吹きこんだのは、レーニンスターリンである。その萌芽はレーニンの職業革命家の組織にあった。この組織が権力を掌握したのち、スターリンノーメンクラトゥーラが成立し、ソ連邦の支配階級となった。ノーメンクラツーラは搾取し、改革を敵視する少数特権階級であった」(Wiki)。

断章63

 中国の軍事力増強は続いている。

 「中国海軍は、075型強襲揚陸艦を建造しようとしている。中国海軍は公式には075型強襲揚陸艦に関する詳細データを公表してはいないので、あくまでもアメリカ海軍やシンクタンクなどの推定にすぎないが、075型強襲揚陸艦アメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦に匹敵する満載4万トンクラスの巨艦になる可能性が高い。

 ただし、現時点ではアメリカ海軍・海兵隊のように強襲揚陸艦に多数のSVTOL戦闘機を積載する可能性はないため、満載で3万5000トン程度ではないかともいわれている。

 巨大な本格的強襲揚陸艦である075型強襲揚陸艦には少なくとも30機以上の各種ヘリコプター、2隻の726型ホバークラフト、揚陸艇、それに揚陸用装甲車や水陸両用戦車などの水陸両用車両、それに中国海軍陸戦隊上陸部隊が積載されることになる。

 現在のところ、3隻の075型強襲揚陸艦が建造される予定であり、名実ともにアメリカに次ぐ世界第2の規模と内容を誇る水陸両用戦力が誕生することになる」(2019/8/29  JB press ・北村 淳)。

 

 「中国の初の国産空母が8月23日、7回目の試験航海を終え、遼寧省大連の造船所に戻った。中国系香港紙・文匯報(電子版)は、甲板に残るタイヤ痕から、艦載機の離着陸テストが行われた模様だと報じており、就役が近づいているとみられる。

 中国軍にとってこの国産空母は、ウクライナから購入した船体を改造して完成させた“遼寧”(2012年就役)に続く2隻目の空母となる。試験航海は2018年5月に始まった。大連周辺海域で行われた今回の航海期間は、過去最長の22日間に及んだという」(読売新聞)。

 

 日本共産党日本社会党が、中国を「社会主義(をめざしている)国家」と呼んでいた1994年、岡田 英弘は、『中国のどこが危険なのか』について説明している。

 「中国には思想的な問題、イデオロギーの問題がある。それは社会主義イデオロギーではない、中国独自のいわゆる中華思想と言われるものである。中国には歴史的な宿命として、世界最大最強の国でなければいけないというドクトリンがあって、中国人はハナから、これを自明のことだと思っている。たまたま今、日本人というこすっからいやつらに小股をすくわれ、こんな目に合っているが、もともと中国人というのは世界でもっとも優秀な人種である、と信じていて、その思いは、とにかく理屈を超えたものなのである。それが中国のナショナル・アイデンティティなのだ。(中略)

 日本人は戦後、政経分離の思想に慣らされたため、政治は経済に追随すると思い込んでいるが、政治と経済の関係はけっしてそういうものではない。日本ですら、経済はつねに政治によってコンディションされるわけで、経済は政治の敷いた路線を走るしかないのである。(中略)

 日本人のなかには、中国も経済開放政策によって経済が発展すれば、政治も自由化し、民主的になるだろうと思っている人がいるが、そんなことにはけっしてならない。経済開放政策は共産党の統治を強化するために立案されたのであって、政治を自由化したり、民主化したりしたのでは、なんのための経済開放政策かわからないのである。(中略)

 中国人が全体として好戦的だとは思わないが、最高権力者がなにかを機に気まぐれを起すことがないとは言えず、非常に危険な国である。この点、北朝鮮と同じだ。指導部のなかで投票で政治的決断がなされているわけではない。最高権力者が一言言えば、大躍進政策でも、人民公社でも、だれが考えても気違い沙汰と思われるようなことでも、文句なく行われるような国なのであり、その体質は今も変わっていない。そういう意味で、中国には非常に気をつけなければいけない」。

 

【参考】

 4年ぶりの中国国防白書は、「尖閣諸島について『中国固有の領土』と言明し、東シナ海の監視を続けるとした。4年前の白書にはなかった表現だ」(2019/7/25 朝日新聞)。

 

【参考】

 複数の国が領有権を争う南シナ海ウッディー島に、中国が少なくとも4機のJ10戦闘機を配備したことが、CNNの入手した衛星画像で明らかになった。ウッディー島への戦闘機配備が確認されたのは2017年以来。

 衛星画像は19日に撮影されたもので、情報企業イメージサット・インターナショナルがCNNに提供した。同社によると、南シナ海にある中国の実効支配下の島でJ10が確認されたのは初めてだという。

 南シナ海では依然として緊張の高まりが続いている。中国の習近平(シーチンピン)国家主席は来週日本で開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせてトランプ米大統領と会談する予定だ。

 衛星画像を見たアナリストらは、戦闘機が野外に駐機している点などの重要性に言及。J10が最大10日間にわたり同島にとどまっていたことを示していると指摘する。

 豪空軍の元将校でグリフィス大学アジア研究所の研究員、ピーター・レイトン氏は「中国は戦闘機の存在を気付かせようとしている。そうでなければ格納庫に駐機するはずだ」と述べた。

 米太平洋軍統合情報センターの元責任者、カール・シュスター氏はJ10の配備について「ウッディー島が自国の領土であり、いつでも望むときに軍用機を配置できると誇示する」狙いがあるとの見方を示した。

 J10の戦闘行動半径は約500マイル(740キロ)で、南シナ海の大半や海上交通の要衝地を範囲内に収めている。

 ウッディー島は中国名「永興島」で、パラセル(西沙)諸島で最大の島。パラセル諸島は約337万平方キロにわたって広がる南シナ海の北部から中部にかけて位置する。ベトナムと台湾も同諸島の領有権を主張しているが、1974年以降は中国の実効支配下にある。

(2019/6/21 CNN)

断章62

 吉村 貫一郎は、南部藩・下級武士としての極貧生活のなかでも、「こったに美しい故郷に生まれ育ったわシは 貧乏なぞ 口にスては ならね」「剣をみがき 学問を修め 志を持ち 南部の もののふとして 忠義に 生きよう」と思い定めていた。だが足軽の身では、どれほど剣を磨き勉学に励んでも、家族の生活を守ることはできなかった。大罪である脱藩をし、己の義を貫いて死んだ。

 

 『しんぶん赤旗』によれば、「日韓関係の深刻な悪化を憂慮する元政府代表や学者、弁護士らが、日本政府による韓国政府との冷静な対話を求めた声明『韓国は“敵”なのか』(7月25日発表)の世話人一同は8月16日、声明の賛同署名が第1次募集締め切りの15日までに8404となったとウェブ上で発表」したそうである。

 

 この「声明」が、韓国について全く不勉強で無知なものであることは明らかである。

 だが、この「声明」の中心人物たちは、そんなことは百も承知の確信犯である。

 というのは、この中心人物たちは、かつて日本が社会主義になる未来を夢見ていたインテリたちで、共産党が権力を握れば、自分たちが共産党に協力する存在として、政治的にも経済的にも特権を享受できることを夢見て、一所懸命働いていた連中である。

 「いまだに精神構造のあらゆるレベルにマルクス主義から出る気分が浸透している人たち」である。彼らは「“日本国家をなんとかして恥ずかしめ、弱体化させたい、日本人に誇りを失わせたい”という気持ちに駆られて」(岡田 英弘)行動している。

 だから、彼らは、「日本国家をなんとかして恥ずかしめ、弱体化させたい、日本人に誇りを失わせたい」韓国とタッグを組むのである。

 

 その他の賛同者は、「人権」とか「人道」とか「植民地支配」と聞いただけで思考が停止して、各主権国家が生存を賭けて争闘している世界の真実を見ることのできないナイーブすぎる人たちである。

 すでに、「韓国は被害者、日本はダーティーな犯罪者」という韓国の一貫した「反日プロパガンダに汚染されているのだ。解毒剤は、韓国をもっと知ることである。

 

 平林 たい子のように、「とかくメダカは群れたがる」と一突きして済む話なのだろうが、あいにくまだ悟りを開いていないので、一言しておこう。

 

 いつものワンパターンの「声明」である。

 機動隊が警棒を振りかざして突進してきても、「生きて生き抜き、闘って闘い抜く」「逮捕を恐れず、失業を恐れず、離婚を恐れず、死をも恐れず」と思い定め、怯むことなく向かっていったオオカミたちは、皆もう死んでしまった。

 機動隊が警棒を振りかざして突進してきたら、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑った共産党のオウムたちと根性無しのウサギたちが、昔ながらの無駄口をたたいているだけだ。

 「アべがー、民主主義を壊している、隣国を敵扱いしている」と思うなら、本気の戦いをしてみるがいい。「ここがロドス島だ。ここで跳んでみろ」。

 

【参考】

 「朝鮮の歴代王朝の公用語は漢文だった。朝鮮語の読みでテニヲハ程度のものは付けていたが、おおもとは漢文を音読して使っていた。もちろん、公用語が漢文だからといって、朝鮮語のもとになったアルタイ語が存在しなかったと言っているのではない。民衆の大多数は漢語ができず、彼らの言葉には文字がなかった。話し言葉としての朝鮮語は語彙も少なく、独立した言葉とは認められていなかったのである。

 それが、15世紀になってハングルがつくられ、初めて朝鮮語を音で表記できるようになった。ただし、これは女子供の言葉で、堂々たる大人の使うものではなかった。20世紀に入って日本に併合されてからは、近代化の言葉は日本語になった。朝鮮語はやはり家庭内だけの言葉で、おおやけの場では日本語が使われ、人々は日本語で考えるしかなかった。このため、1945年、日本が引き揚げるとパニック状態になった。朝鮮語は近代の事物を表現する語彙も文体も持っていなかったからである。

 その結果、朝鮮語が逆にいっぺんに日本語化した。日本語で考え、それを逐語訳するという手順を踏んで、現代韓国語が成立したわけで、それ以来、韓国語はほとんど日本語の方言と言ってもいいものになってしまった。そのことが韓国人の日本人に対する憎しみの基礎にある」(『岡田 英弘 著作集』第6巻)。

断章61

 1991年のソ連の崩壊まで、日本のいわゆるインテリは、日本が社会主義になる未来を夢見ていた。

 社会主義の未来とは、共産党(オマケで社会党)が権力を握り、そのなかで、自分たちインテリが共産党に協力する存在として特権階級になる社会である。政治的にも経済的にも特権を享受する立場になることを夢見て、彼らは一所懸命働いてきた。その夢は虚しくついえた。

 だが、「いまだに精神構造のあらゆるレベルにマルクス主義から出る気分が浸透している人たちは、“日本国家をなんとかして恥ずかしめ、弱体化させたい、日本人に誇りを失わせたい”という気持ちに駆られて」(岡田 英弘)行動している(知的で道徳的な良い人と思われたい“朝日的文化人”は、彼らのお友達である)。

 だから、彼らは、“日本国家をなんとかして恥ずかしめ、弱体化させたい、日本人に誇りを失わせたい”という同じ精神構造をもつ韓国にすり寄っていくのだ。

 

 韓国の文在寅政権は、韓国初代大統領・李承晩(イ・スンマン)時代の12年間を「親日独裁」だとして歴史から消した。朴正煕(パク・チョンヒ)時代の17年間は「軍事独裁」だとして追放した。さらに全斗煥(チョン・ドゥファン)・盧泰愚(ノ・テウ)時代の12年間は「監獄に行った大統領の時代」、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クンへ)時代の9年間は「監獄にいる大統領の時代」として否定している。

 金大中(キム・デジュン)、盧武鉉ノ・ムヒョン)時代の10年間も、日本に気を遣っていたので完全ではない。ただ唯一、ロウソク革命から生まれた今の文在寅政権だけが完璧だと自画自賛している。これが、大韓民国の歴史らしい(笑い)。

 

 文在寅政権とその取り巻きは、韓国初代大統領・李承晩をひどく嫌っている。

 例えば、「国営テレビのKBSは『故・李承晩と故・金日成は、米国とソ連韓半島朝鮮半島)を分割統治するために連れてきたカイライ(操り人形)だ』として、『故・李承晩元大統領を国立墓地から掘り出してしまうべきだ』との内容を放送した」し、「文大統領直属の『三・一独立運動および大韓民国臨時政府樹立100周年記念事業推進委員会』は、政府の庁舍がある世宗路交差点のビルに10人の独立運動家の大型肖像画を掲げた。そして、上海臨時政府の初代大統領であるとともに大韓民国の初代大統領である故・李承晩(イ・スンマン)大統領の肖像画だけをこっそりと外した」(韓国紙)のである。

 大事なことだから、もう一度書いておくね。

 故・李承晩(イ・スンマン)は、大韓民国上海臨時政府の初代大統領であるとともに大韓民国の初代大統領。

 文在寅政権は、李承晩を弊履(ヘイリ)のごとく投げ捨てたが、その李承晩の事績である「大韓民国上海臨時政府」と「竹島強奪」は、神棚に大切に祀っている。

 

【参考】

 歴史の改竄(カイザン)は進行中である。『週刊FLASH 2019年9月3日号』によれば、「今年、小学校の社会の教科書から『漢江の奇跡』という文言が消えました。1960年代から1980年代の、韓国の経済成長を表わすフレーズですが、この時代を否定すれば、韓国の経済発展への歩みが理解できなくなりかねないのですが・・・」(木村 幹)。「漢江の奇跡」は長年、韓国人の誇りだった。朴正煕政権で成立した「日韓請求権協定」よって日本から得た5億ドルの経済支援で、韓国経済は奇跡的な高度成長を成し遂げ、今日の繁栄の礎になった。

 だが、文在寅大統領や周囲の人間は、この時代を評価したくない。日本の支援もあって経済成長した朴正煕政権を、最新の歴史教科書では「維新独裁」と否定的に決めつけ、日本統治時代をモデルにしたともいわれる農村振興運動「セマウル運動」も、記述が削除された。

 また、文政権の教科書改訂は、初代大統領の李承晩にも及ぶ。1948年8月15日の「大韓民国樹立」を「大韓民国政府樹立」に変更したのは、この日に政府ができただけ、と初代大統領・李承晩の業績を矮小化するためだという。

 さらに、「朝鮮半島における唯一の合法政府」という記述も削除。これは文大統領が1919年に上海に設立された「大韓民国臨時政府」を評価するからだ。

 一方、日本については、「小学校の教科書には適切でない」として記されてこなかった「日本軍の慰安婦」という名称が記され、“反日色” が濃くなった。

 その反面、北朝鮮には融和的だ。朝鮮戦争は、「北朝鮮の南侵から始まった」とする記述は、2018年から削除された。

 極めつきは、2019年6月、「顕忠日(戦没者追悼のための国家記念日)」での文大統領の演説だ。1919年に設立された、臨時政府の「光復軍」で副司令官を務めた金元鳳を「韓国軍のルーツ」と称えたのである。

 「金元鳳は戦後、北朝鮮に渡って政府要人になった、韓国にとっては “裏切り者” とも言える存在。彼が韓国軍のルーツという発言は、中国の国家主席が、『人民解放軍を作ったのは蒋介石』と発言するのと同じぐらいあり得ないことです」(木村 幹)。

 これも朴正煕ら、旧日本軍や旧満州国軍出身者が多かった韓国軍の本来の創設者たちを、「親日残滓」として否定したいからだ。

 「国内の保守派こそ、文政権がもっとも意識する敵。彼らの否定こそ、文政権が重視する歴史観です。韓国を発展させた保守派を無理に否定し、文政権の歴史観を上書きしようとするので、どこまでいってもフィクションめいてしまうのです」(同前)。

 

【参考】

 「日本の輸出管理強化により“ホワイト国除外”とされた韓国では、いま、“独島(竹島の韓国名)”が熱い。日韓の間で2016年に結ばれたGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄まで取り沙汰されているが、そんななか、領土問題は国民を煽る格好の材料となるようだ。

 “独島領有”を今まで以上に声高に主張することで、日本を打ち負かそうという意識が社会を席巻しつつある。

 韓国国防部は、独島の警備をこれまでの警察から海兵隊に移管するよう検討に入った。さらに光復節のある8月中に『独島防御訓練』を行うと発表した。この訓練は毎年二回行われるが、今年は8月に行うことによって、日本に『強力なメッセージを送ることができる』と韓国政府は考えているという。

 自治体レベルでも動きは活発だ。ソウル近郊の京畿道議会は“ホワイト国除外”が発表された2日、独島訪問団を現地に送り込んだ。団長のアン・ヘヨン議員は、ホワイト国除外に対し、『京畿道民をはじめとする韓国国民は怒っている。戦犯国家である日本は独島が大韓民国の領土であるという歴史的事実を否定・歪曲するのをやめ、心を込めて謝罪をしなければならない』と述べた」(2019/8/8 藤原 修平)。