断章453

 「今日は来ないが明日は来る」はずの「社会主義を待ちながら」、インテリたちは延々と議論をつづけている(それが彼らのメシの種でもある)。そんな議論を気にもせず、世界人口は増加をつづけている。

 10万年前の世界人口は、アフリカの現生人類とユーラシアの旧人類(ネアンデルタール人など)を合わせて50万ほどでしかなかった。現生人類がユーラシア大陸に拡散した1万2000年前(氷河期の終わり)でも、その数は600万人程度だったといわれている。

 氷河期が終わった後の温暖で豊かな自然環境は、人口爆発を招いた。平等主義 ―― ただし、「平等主義とは概して野蛮な考え方である。なぜなら、社会のメンバーたちが互いに平等な立場に立とうと必死になるために、警戒心や陰謀がつねに渦巻いている」(ドナルド・ドゥージン) ―― の「遊動」する原始共同体は、優良なテリトリー(縄張り)の占有をめぐる絶え間ない戦争と紛争のうちに滅びた。

 「定住」・「農耕」の始まりとともに、世界の人口は1億人に増えたが、近世に入って次第に増加の勢いを強め、産業革命の始まる時期に当たる1750年には7.3億人、その100年後の1850年には12.6億人となった。さらに、2011年版の国連『世界人口白書』によると、世界人口は2011年に70億人に到達した。2024年には、80億人に、今世紀中には、90億人になるという推計がある。いまや、押し合いへし合いである。

 

 マルクスは、「ドイツ労働者党綱領評注」、いわゆる「ゴータ綱領批判」で言う。

 「それ自身の基礎の上に発展した共産主義社会」では、「協同的な富があらゆる泉から湧き出るようになって」「各人はその能力に応じて(働き)、その必要に応じて(受け取る!)」ことができる(はずです)と。

 90億人が、その必要に応じて! いったいどんな世界なのだろうか?