断章394

 全体主義国家では、イデオロギーの鼓吹・統制が統治のカギである。

 「党=国家の公認イデオロギーは、人間社会と歴史のあらゆる局面を説明するとともに、いかになすべきかの根本的指針をも提供する世界観である。人民大衆は、この公認イデオロギーを幼児のときから教えられ、その信奉を要求される」。

 「党=国家によるマスメディアの完璧な独占と統制。近代的な発達したマスコミ手段を通して大衆のトータルな統制と体制への忠誠心の確保がなされる。近代科学技術を利用してなされるこうした大衆動員の結果、人びとの魂の奥底までの管理・統制が可能となろう」。

 

 最近の中国では、「法的措置をちらつかされ、インターネット上では嫌がらせの標的に、同僚は国外追放されて人手不足 ── 。中国外国人記者クラブは31日に公表した年次報告書で、中国では自由な報道の信用を失墜させようとする試みによって、外国人記者が『前例のない障害』に直面していると訴えた。

 年報は、中国当局が記者を相手取り訴訟を起こすことを『奨励している』ようだとしている。外国人記者が同意を取り付けた上で取材したにもかかわらず、かなりの時間が経過した後に訴えられる事例もあったという。

 英誌エコノミストのデービッド・レニー北京支局長は、年報の中で『リスク状況が人知れず変化しつつある』と指摘。『特に報道機関は、報道内容によっては法的制裁や民事訴訟の対象とされ、最悪の場合は国家安全保障上の調査対象になり得ると警告されている』とし、記者のブラックリスト登録や記者証・査証(ビザ)の発給制限などを通じた従来のメディア統制の手法が『憂慮すべき』方向にシフトしているとの認識を示した。

 年報はさらに『国家の後ろ盾を得た攻撃、特にオンライン上での嫌がらせ』によって記者の活動に支障が出ているだけでなく、外国メディアを敵視する感情をあおることにもつながっているため、『中国取材は困難を極めている』と述べている」(2022/01/31 AFP NEWS)。

 

 国内の報道においても、「中国で、8人の子どもの母親が首に鎖を巻かれた状態で、村の小屋に閉じ込められている映像が表面化し、ネットで怒りや衝撃が広がっている。

 中国東部・江蘇省徐州市にいるこの女性を訪ねた男性が動画を撮影し、動画アプリ抖音(ドウイン)に28日に投稿した。(中略)

 動画からは、撮影した男性が目の前の状況に衝撃を受けている様子が伝わってくる。

 男性は暖かい衣服を女性に渡すと、いくつか質問をしている。だが女性はちゃんと答えられない。女性はぼんやりした様子で、寒くないかと男性が繰り返し尋ねても、問いかけが理解できないように見える。冬の凍えるような気温の中、女性は少ししか重ね着していない。

 この動画は中国のネチズン(ネット市民)の間で急速に拡散され、当局に支援を求める声が沸き起こっている。中国の遠隔地では女性が虐待され、一部の権利しか認められていないとの指摘も出ている。動画の女性が8人の子どもを産むに至った状況を問題視する人もいる。中国で厳しい産児制限がなされてきた中で、今回の事案になぜ当局が気づかなかったのか問う声もある。

 動画が投稿されて以降、中国の寒村における人身売買をめぐって、熱い議論が繰り広げられている。ただ、今回の女性については詳細がほとんど明らかになっていない。多くの人が2007年の中国映画『盲山』になぞらえている。若い女性が誘拐され、奴隷として売られる物語だ。

 当局は28日、誘拐の憶測は当たらないとする声明を発表。女性のラストネームはヤンで、徐州市豊県の地域の出身だとした。当局はまた、女性はドンという名の男性と1998年に結婚しており、精神的な病気だと診断されていると説明した。夫とされる男性の家族は、女性がいきなり暴力的になることがよくあったと、当局に話したという。

 こうした当局の説明は、ネチズンの怒りに油を注ぐこととなった。女性が拘束され、鎖が使われ、福祉面で問題と思われる状況にあることを、当局は無視しているとの批判が出た。これを受けて当局は31日、2つ目の声明を発表。家族のこれまでについて、より詳しい情報を提供した。

 現地メディアによると、新たな声明は、当局が女性の夫について調べていると説明。

 『ドンは法律に違反した疑いがある。治安当局が調査を始めた』としている。声明はさらに、女性は現在、病院で治療を受けており、子どもたちは公的ケア施設に収容されたと報告。女性は最近、統合失調症と診断されたとしている。

 新たな声明も、ネチズンの怒りを鎮めることにはつながっていない。現地当局にもっと責任を取らせるべきだとの声が上がっている。『彼女は人で、物じゃない。20年間で8人を産んで、やっと今日知られることになっただと? 関係のある政府部局や司法当局の誰もが潔白ではない』と、あるネットユーザーは書いた」。

 本当の問題は、その次である!

 「今回の問題が28日に初めて話題となって以来、オンラインでの議論は厳しく検閲されている。当局は、人身売買に関する多くの投稿を削除。『徐州市の8人の子ども』というキーワードについて検閲している」(2022/02/01 BBC NEWS)というのだ。

 

 これが「全体主義」でないとすれば、いったいなんだ?

 ロシア共産党中国共産党が、自分たちが支配する国を「社会主義」だと自称すれば、日本共産党と同伴知識人は、「オウム返し」で、「そうだ、そうだ」と賛成してきた。「科学的批判精神」は無いが、「党派根性」だけはあるのだ。

 中国共産党は、「人権派弁護士」たちを精神病院に収容している。

 支配者たちの説明を鵜呑みにしてはならない。支配者たちが、全体の福祉を守るために、「異常者たちを精神病院で治療しているのだ」と述べても真実とはかぎらない。