断章265
建前(たてまえ)と本音(ほんね)は、何かしらに対する人の感情と態度との違いを示す言葉である。どちらを信用すべきだろうか?
「近く着任する姜昌一(カンチャンイル)駐日韓国大使が17日、日本メディアとの会見に応じ、元徴用工問題や慰安婦問題を念頭に『文在寅(ムンジェイン)大統領は韓日の関係正常化と協力強化に強い意思を持っている』と語った。東京五輪をめぐり文氏は『開催成功のため、できることは最大限行う』とも述べたという。大統領府を14日に訪問した姜氏に対し、文氏が語った内容として紹介した。姜氏は『韓日は前に歩まないといけないのに、歴史問題でできていない』とし、『1965年の国交正常化以来、最悪の状態だ』と語った。そのうえで『経済や安保での協力、新型コロナウイルスへの対応、東京五輪の開催成功、少子化や人口減少など、ともに対応するべき問題は山積している』と訴えた。豊臣秀吉が朝鮮半島へ侵攻した『文禄・慶長の役』の後、江戸時代に朝鮮王朝が派遣した外交使節団『朝鮮通信使』や、当時、両国の橋渡し役として活躍し『誠信の交わり』を外交方針として説いた儒学者、雨森芳洲を引き合いに『(日韓関係は)今は寒い冬のなかにあるが、春を迎える準備をしなければならない』と強調した」(2021/01/18 朝日新聞デジタル)。
「春を迎える準備をしなければならない」という建前を語りつつも、しっかりと棘(とげ)をひそませている。というのは、「韓日は前に歩まないといけないのに、歴史問題でできていない」と言うが、いったい誰が(どの国が)、歴史問題のどんな扱いをすることで、冬になっているかを言っていない。それはつまり、韓国の立場=日本は謝罪して金を払え、という本音を隠していることを意味するのである。日韓慰安婦合意、徴用工訴訟に対するムンジェイン大統領のこれまでの行動(言葉ではなく!)を思い出すべきである。
韓国の本音は、ここ最近の行動にも明らかである。
「海上保安庁は11日、東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)内で海洋調査をしていた測量船が、韓国公船から中止を要求されたと発表した。日本政府は、要求は不当だとして外交ルートを通じ韓国政府に抗議した。同海域では昨年夏にも海洋調査で同様の中止要求があった。
発表によると、11日午前3時25分頃、長崎県五島市の女島の西方約139キロで、海洋調査中の測量船「昭洋」に韓国海洋警察庁の船が接近し、無線で『韓国の海域で科学的調査を行うには事前の同意が必要』と中止を求めてきた。昭洋は『日本のEEZ内の正当な調査だ』と応じ、調査を継続している」(2021/01/12 読売新聞)。
韓国は、中国に対しては同様の行動をなしえない。