断章56

 わたしは、年寄りである。なので、「月光仮面」の主題歌を終わりまで歌える。

 わたしは、貧乏である。だから、日々の食費を切り詰めて500円玉貯金をして、まれに一風堂のラーメン(Aセット付き)を食べに行くのである。

 わたしは、無名である。人目を気にしなくてよいから、お高い服を買わなくてよいのである。「ファッションセンターしまむら」よりお安い服でことたりるのである(但し、安い服は、ほつれたり毛玉ができやすい)。

 わたしは、ネトウヨである。なので、自称「知識人」リベラル(進歩的文化人)が嫌いである。彼らの「論法の特徴は、正面切っては反対しにくい事柄をふりかざして、それに少しでも異議を唱える者を居丈高に断罪することだ。断罪の言葉は、かつては『平和の敵』であったが、今は『人道の敵』『人権侵害者』となっている。そこには事実に基づいた冷静で客観的な議論など望むべくもない」(『悪魔祓いの戦後史』 副題・進歩的文化人の言論と責任)のである。そして、韓国の文在寅大統領は、彼らと瓜二つである。

 

 日本が貿易管理Aグループから韓国を除外したので、韓国・文在寅大統領は、「加害者である日本が居直って大口を叩く状況を決して座視しない」「盗人猛々しい」と言った。

 これに対して、日本の佐藤正久外務副大臣が8月2日のBSフジで、「『盗人たけだけしい』という品のない言葉まで使っているのは異常だ。日本に対して無礼だ」と述べたという。

 すると、「韓国外交部は3日、外交ルートを通じて日本側に強い遺憾を伝えるとともに抗議した。(中略)韓国外交部当局者は佐藤氏の発言について、『日本政府高官の発言とは思えないほど、国際的な礼儀と常識に合致しない』と批判した」(韓国・聯合ニュース)のである。

 しかしながら、このように日本語に訳されている文在寅発言のハングル「賊反荷杖」の意味は、実はもっとエグい、「悪事を働いた賊が、開き直って杖を振り上げ抵抗する」らしいのである(韓国の文国会議長がかつて謝罪を拒否した文脈でもこの言葉を使っていたということだ)。

 外交上の言葉としては、前例のない“欠礼”に間違いないのである。

 この言葉に、日本人を憎んでいることが透けて見える。

 

 黄 文雄は、『岡田 英弘 著作集』(2015年初版・藤原書店刊)の「月報・6」に書いた。

 「中華の史料、史説、史観からのみ中華世界、東亜世界を語るのは中国の文人だけでなく、日本の朱子学者、中国学者、東洋学者も変わりはない。

 江戸中期以来の国学者があれほど“漢意唐心”と“和魂和心”を分別する鋭い洞察力をもっていたのに、朱子学者が幻想を抱いていたのと同様に、戦後の中国学者が中華世界を“聖人の国”“道徳の国”“仁の国”そして“地上の楽園”と流布してきたことは、空想や妄想を超えて“犯罪”であり、罪を問うべきである。

 中華を中心とする世界観の中にあって、非漢字世界から中華・東亜世界を直視する岡田先生は、アジアにとってだけでなく、世界にとっても特別な存在である」(前後を省略)。

 

 この『岡田 英弘 著作集』第6巻に収載されている「韓国と台湾の対日感情」(1994年)から引用する。

 「韓国人が、日本を目の敵にして攻撃するのには、重大な理由がある。それは、韓国文化というものの実体がないからである。今の韓国文化と言われるものは、日本の文化の模倣にすぎない。だから、今でも韓国では日本語の歌をそのまま放送することや、日本の映画を放映することに、断固として反対している。日本からの文化の流入を自由化したとたんに、韓国文化が跡形もなく崩れ去ってしまう、という恐怖感にかられているからである(引用者注  ――韓国のテレビ放送において日本語の歌詞を放送することの禁止、日本のテレビ番組を放送することの禁止等がある。近年、徐々に制限を緩和しつつある )。そのことを韓国人に言うと、烈火のごとく怒るが、本当のことである。そういう点を、われわれは理解しなければならない。韓国人のアイデンティティというのは、日本人を憎むことしかないのである」。

 

【参考】

 「文在寅政権発足以降、日本政府に対する韓国政府の“外交的非礼”は目に余るほど頻繁ではないか。だが、それは今に始まったことではない。1995年には韓国政府との事前のすり合わせを経てアジア女性基金が設立され、内閣総理大臣の手紙と償い金が元慰安婦に送られた。韓国政府は当初はこれに『協力する』と評価していたが、慰安婦支援団体や韓国メディアからの反対があり、後にそれを覆す事態となった。

 日本に対してだけではない。韓国の外交的非礼といえば、『台湾との断交』を忘れるわけにはいかないだろう。韓国と台湾の国交が途絶えたのは、1992年8月のことだった。そのことを『外交的に非礼を極めている』と回想する人物A氏に、かつて台北で話を聞いたことがある。A氏には、政府の関係機関でそれなりの職位であったこと以外は身分を一切明かさないという条件で、インタビューに応じてもらった。

 A氏によると、そもそもかつての台韓関係は蜜月状態だった。両国はアメリカの同盟国のなかで共産主義国家に対峙する最前線であり、朝鮮戦争でも台湾は相応の犠牲を払ったこともあり、『両国は血で結ばれた兄弟のような存在だった』という。

 それが暗転したのは、韓国の一方的な断交による。通常、断交の通知は非公式には半年以上前に送られてくるもので、それが外交的な礼儀というものだと前置きしたうえで、『韓国だけは全く違った』と断言する。

 『韓国が大陸の中国と国交を結ぶかもしれないという報告を受けた台湾政府は、韓国政府に対して何度も確認をしましたが、韓国政府はその都度、断交を否定していました。そして突然、断交すると非公式に言い出すと、そのわずか5日後の23日には公式的に断交を通知してきたのです。それだけではない。韓国政府が私たちに命じたのは、台湾大使館員の24時間以内での国外退去と、72時間以内での物品・設備の撤収でした。断交通知の翌日、韓国は中国と国交を結んで、かつての台湾大使館を中国大使館にしてしまいます。こんなやり方をしたのは韓国だけです』(A氏)

 断交すらも直前までひた隠しにしていた過去のある韓国。これから日本に対してどんな“非礼”があったとしても、驚いてはいけない」(2019/7/20  藤原 修平)。