断章134

 「普通、人間は、隣人の危機を見て賢くなるものである。それなのにあなた方は、自ら直面している危機からも学ばず、あなた方自身に対する信ももたず、失った、または現に失いつつある時間さえも認識しようとはしない。あなた方の考えを変えないかぎり、いたずらに涙を流すことになるだけであろう。」(マキャベリ

 

 『わが友マキアヴェッリ』で塩野七生は、「低血圧の人は血糖値が低くなると、やたらとペシミストになる」と書いている。わたしは、おそらく低血圧である。なので、「新型肺炎」について、あまり書かないように“自粛”してきた(つもり)。

 ところが、先週末の東京のお花見名所や繁華街の混雑ぶりをTVで見て驚いた。もう「新型コロナ」感染は、終息したと思っているのか!?

 なるほど、そこは密室ではない。だが、密集しているし密接しているではないか。そもそも、この人数では、そこに向かう交通手段において、すでに感染拡大の「3密」になっているのではないか、と。

 

 怖がりの小心者、低血圧のペシミストだから言うのではない。リアルに死の淵を覗(のぞ)いた時、形容しがたい感情から、涙が流れ歯の根が合わない震えに襲われた経験者としてお願いする。外出は、自粛すべきである。

 

 「感染症対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、(中略)『外出自粛といっても、1歩も外に出てはいけないということではなく、外に出ただけ、人とすれ違っただけでは感染しないので、食料などの買い物や気分転換のための散歩はしてもよい。外出の際に最も大切なのは、換気の悪い密閉空間、人が密集する場所、密接した近距離での会話の《3つの密》を徹底的に避けることだ』と話しています。

 そして、『イタリアでみられるような重症者を救えなくなる医療崩壊を起こさないことが目的であり、私たちができるのは、手洗いやマスクなどの感染対策をして、《3つの密》を避けることだ。自分を守り、感染のリスクが高い人たちも守るという意識を強く持ってほしい』と訴えています」(2020/3/28 NHKニュース)。