断章9

 わたしは、年寄りである。

 幸か不幸か孫がいないので、孫自慢、息子の嫁の悪口とは無縁である。

 

 わたしは、「老いてまさに益々(ますます)壮(さか)んなるべし」と思っている。

 「ちょっとー、勘弁してよー」という問題を引き起こす、近所の異性に懸想したジジイの、「えらいお盛んですなー」の「盛ん」とは違うのである。

 

 「丈夫の志を為すに、窮して当に益堅かるべく、老いて当に益壮なるべし」(後漢書・馬援伝)から来ているので、「年老いても(世のため、人のためにという志は)ますます意気盛んでなければならない」ということなのである。

 また馬援という人は、「財産を増やしたならば、人々に分け与えることこそが肝要である。そうでなければ単なる守銭奴ではないかと言って、その莫大な財産を親族旧知に尽(ことごと)く分け与え、自身は粗末な衣服で満足していた」(八重樫 一)らしい。

 

 「年寄りの暇つぶしとしての『ネトウヨ』だよねー」とは、言われたくないのである。

 年老いてなお己を省み、励まなければならないと思うのである。