断章489

 日本共産党代表団・宮本 顕治団長が「熱烈な兄弟のあいさつ」を送った、朝鮮労働党の「社会主義建設と防衛」とは、どのようなものだったのか?

 

 たとえば、1980年代前半から半ばにかけて、北朝鮮で技術指導に携わった在日朝鮮人・李 佑泓は、「北朝鮮は明確な身分差別があり、ひどい監視社会である。指導者の失政のために、北朝鮮はあらゆる工業力の水準が極めて低く、物不足のため国民の生活水準も酷い。また組織の腐敗のため改善の余地も見られない。国外向けに行われている宣伝はことごとく虚偽宣伝である」と、『暗愚の共和国』で告発した。

 あるいは、「『食料が足りないなら山林を農地に変えればよい』とする単純な理論を振りかざし、山を切り開いて棚田やトウモロコシ畑を造ることになったのだが、金 日成が土留めのない田畑を造ることを指示したがために少し雨が降っただけでその田畑は崩壊した。このような強引な農法により山は禿山(はげやま)となり、山の土砂が川に流れ込んで水位が上がり、ひいては洪水が多発する原因となった。トウモロコシ畑においては連作障害を引き起こし、増産という目的に反し不作、ひいては食糧難を招くこととなった。

 また洪水の影響で大量の土砂が海に流れ込み、海岸の生態系が破壊されてしまったため漁業まで不振に陥ることとなってしまった」(Wikipediaから引用)。

 未曾有の食糧危機に直面していた1997年には農業担当の徐 寛熙・党書記が農業政策の失敗と食糧危機の責任を取らされ、「米帝国主義の指示を受け、我が国の農業を破綻させたスパイ」との罪名で処刑された。

 そして現在、「北朝鮮」が行っている「社会主義建設と防衛」ための主な事業は、サイバー攻撃と密輸、弾道弾発射と核戦力構築のようである。

 

 「アメリカ、マイクロソフトのブラッド・スミス会長は、民主主義は日々サイバー攻撃にさらされており、犯人を特定して止めるべきとの認識を示した。アトランティク・フューチャー・フォーラムの講演で、他国の選挙や政治を狙う悪質なサイバー攻撃を頻繁に行っている国として、ロシア、中国、イラン、北朝鮮を挙げた。

 その上で『われわれは、戦争状態ではないが完全に平和を感じることもできない時代に生きている。サイバー攻撃はグレー・ゾーンだ』と発言。さらに『5年前は、攻撃対象としてインフラや軍事能力が考えられたが、今は民主主義そのものが脅威にさらされている』」(2020/10/21 ロイター通信)と警告したのである。