断章442

 ウクライナからカスピ海を渡り、遙かなる秘境崑崙(こんろん)とゴビ砂漠を越えて8,000Km余り東。大海のなかに「動物王国」がある。この国には、たくさんの政党がある。政党のひとつに、協賛党という党中央への党員の服従ぶりが際立つ政党がある。輝かしい(?)100年の党史を誇っている。協賛党は、結党当初から外国に引きずり回されて右往左往の歴史を刻んできた。しかし、党中央による継続した執拗な「資本主義は悪、社会主義は善」のプロパガンダ(宣伝)によってつちかわれた“信念”と先々代の指導者の相対的に安定した党運営によって、今でも解党することなく健在である。とはいえ、この協賛党の「信念は嘘よりも危険な真理の敵」(ニーチェ)であるのだが。

 

 協賛党の先々代の指導者だったミヤケンは、演説は苦手だが、政治的根回しが上手く、狡猾。多くのライバルの失敗につけこんで降格したり党外に追放した。自分の失敗は、頑固に否認し、じょうずに責任転嫁を図り、党中央の指導権を握った。また、腹心のフワテツを使い、頭の良くない党員たちを言いくるめ、納得させた。

 フワテツは、かつて賢い理論家とみられていたが、“自己批判”後、ミヤケンの腰巾着になって演説や説明が苦手な彼に代わって党員たちに彼の方針や考えを説明や説得するようになったのである。フワテツは、その「白を黒に変えるとも評された」論説の力によって、ミヤケン亡き後、先代の指導者になった。いまは院政を敷いている。

 

 池上 彰は、2021年6月に出版された『真説 日本左翼史』の「はじめに」で、「今年2021年は中国共産党創設100周年です。ということは、来年2022年は日本共産党創設100周年です。中国共産党は、過去の自らの失敗を糊塗して、輝かしい党史を偽造しています。では、日本共産党は、過去を正しく直視することができているのでしょうか」と、問いかけた。

 「過去に目を閉ざす者は現在にも目を閉ざす」と言う。“真説・日本共産党史”を書かなければならない。