断章441

 世界がわたしたちを直撃する。

 1930年代型複合的全面的危機の到来に備えなければならない。地域戦争がもたらすエネルギー・資源危機や食糧危機。世界金融恐慌、あるいは世界的なスタグフレーションという経済危機とそれが引き起こす政治危機の国際的連鎖。かつてない自然災害、巨大地震の発生。そして、庶民の生活不安につけこむファシズム(黒色全体主義や赤色全体主義)の台頭などなど。

 わたしはオオカミ少年と呼ばれたくはない(そもそもジジイだし)。けれども、いや~な予感がする(予想はウソヨ、予測はクソヨと言うが)。ネズミ男のヒゲは、ふつうは金儲けの予感がすると「ビビビ」と震えるのだが、今回は危機の予感で震えているようだ。

 

 ここ最近の経済関連ニュースは、きな臭いものだった。

 「ドイツ銀行は3月26日、 米連邦準備制度理事会FRB)が行うかたくななインフレ抑制策により『大規模なリセッション(景気後退)』が起きると警鐘を鳴らした。同行は今月初め、米国が『緩やかな』リセッションに入ると大手金融機関で最初に予測し、世間を驚かせていた。大規模なリセッションの見通しは、同行のエコノミストらが顧客向けの報告書の中で述べた。

 ドイツ銀行によればインフレ率はピークを迎える可能性があるものの、問題はFRBが目標に掲げる2%にまで下がるには『長い時間』がかかることだという。このためFRB金利を急激に引き上げ、それが経済に痛手をもたらす恐れがある。結果的に、この後やってくるリセッションは従来の想定よりも深刻なものになると、ドイツ銀行エコノミストらは指摘する。

 米国の消費者物価は3月、8.5%上昇し、過去40年間での最速ペースを記録した。ドイツ銀行は、より暗い見通しの背後にある最も重要な要因として、一般的な予想よりインフレが根強く継続する可能性に言及。グローバル化の逆行や気候変動のほか、ウクライナでの戦争と、中国における新型コロナ感染抑止策としてのロックダウン(都市封鎖)に起因するサプライチェーン(供給網)の一段の寸断がこうした傾向に拍車をかけていると分析した」(2022/04/2 CNNビジネス)。

 

 4月17日の日本経済新聞は、「ロシアによるウクライナ侵攻が、新興国経済が直面するリスクを深めている。両国からのエネルギーや穀物の輸出が減少し、食糧難や政情不安、財政危機に陥る国も増えてきた。資源や食料を輸入に頼り、観光業に収入を依存する国の状況が厳しい。国連などは大規模な飢餓への警戒も強め始めた。複合的なリスクが世界経済の最も脆弱な部分に暗い影を落としている」と伝えた。

 けれども、「資源や食料を輸入に頼り、観光業に収入を」期待したのは、新興国だけではない。わが日本もそうである。

 

 そして、「週明け13日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は4営業日続落し、前週末終値と比べた下げ幅が一時千ドルを超えた。終値は876.05ドル安の3万0516.74ドルと、昨年2月上旬以来、約1年4カ月ぶりの安値水準となった。米国での記録的なインフレが景気後退を招きかねないとの警戒感が強まり、売り注文が膨らんだ。

 ハイテク株主体のナスダック総合指数も4営業日続落して530.79ポイント安の1万0809.23と、2020年9月下旬以来、約1年9カ月ぶりの安値水準で終えた」(2022/06/14 共同通信)のである。アメリカの株価は、“底割れ”したように見える。警告灯が点滅している。