断章438
恐ろしい時代である。隣国との紛争を「特別軍事作戦」(戦争と読め)で片づけようとする核大国がある。国際連合もG20も機能不全であり、無力だ。
恐ろしい政党がある。日本共産党だ。創立以来100年もの間、旧・ソ連(おおむね今のロシアに重なる)、旧・東欧共産圏諸国、中国や「北朝鮮」などの、とんでもない人権侵害国家を“社会主義国家”だとプロパガンダしてきた。
ところが、旧・ソ連や中国の現実(ソ連共産党や中国共産党の行状も)が知れわたり、ていよく言葉でごまかせなくなり、日本共産党の首を絞める(選挙で議席が減る)という状況になるや、しれっと(何事もなかったように、平気を装うさま)、「ソ連は社会主義と無縁な体制として消滅しました」(しんぶん赤旗)だの、あるいは「志位氏は記者会見で中国共産党について『共産党の名に値しない』と強調した」(日本経済新聞)のである。
かつて不破 哲三は、「ヨコとタテに視野をひろげよう、すなわち世界をヨコに広くみ、歴史のなかで現在をタテに前向きにとらえることが必要だ」と言った。
では、そんな彼の目に「現在の世界の大きな歴史的特徴」は、どう見えていたのか?
「一方に、資本主義という、古くからの制度をもった国ぐにがある。そしてそれらの国ぐにと並んで、発展の度合いはいろいろだが、資本主義の道と手をきって、社会主義の道をすすみ始めた国ぐにが、存在している。すなわち、資本主義と社会主義という、人間社会の歴史からいえば、発展段階を異にする国ぐにが、すでに70年近くにわたって、同じ地球のうえで共存している」(『世界史のなかの社会主義』1987)と、見えたのである。
まさに、スターリン主義の“公式”そのままだった。だから、「北朝鮮」(朝鮮民主主義人民共和国 ―― 共和国社会主義憲法の条文によると、北朝鮮は民主主義的な共和国であり、最高人民会議と地方の人民会議の議員は秘密投票による直接普通選挙で選出されるらしい)の支配者を「同志」と呼び、朝鮮労働党を「友党」と呼んだのである。