断章402

 「プーチン氏が一番恐れているのはウクライナNATOが拡大することでないことも確かだ。この説は説得力に欠ける。本当に恐れているのは、民主主義が自国の玄関先にまで迫ることだ。だから、ウクライナが独立国家として自らの意志で選ぶ権利を否定したいと考えている。これこそが、プーチン氏がウクライナの征服を命じた理由だ」。

 「プーチン氏は、西側の民主主義諸国が長期間の対峙に備えた胆力を持ち合わせていないことに賭けている。彼はクリミア半島を占領した後に受けた非難を乗り切った。外貨準備を数千億ドル規模に積み増し、原油価格高騰の恩恵も受けている。そして習近平国家主席が率いる中国にも近づき、米国に対して二正面作戦の再考を促している」。

 「ロシアによる土地収奪はナチス・ドイツによるオーストリアチェコスロバキアポーランドへの段階的な侵略をほうふつとさせる。何がなされるべきなのだろうか?」(2022/02/25 日本経済新聞:ライオネル・バーバー・英FT紙前編集長の記事を再構成)。

 

 「デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は27日、ウクライナがロシア軍と戦うため編成する外国人部隊へのデンマーク国民の参加を認めると発表した。

 フレデリクセン首相は記者会見で、『誰にも可能な選択だ。デンマーク在住のウクライナ人はもちろん、この紛争に直接貢献できると思う人全員に当てはまる』『ウクライナへ行き、同国側について紛争に参加するのを妨げる法律は、一見したところ存在しない』と述べた」(2022/02/28 AFP通信)。

 「スウェーデン政府は27日、紛争地には兵器を供与しないこれまでの国是を破り、ウクライナに提供すると発表した。アンデション首相は記者団に『ロシアと戦うウクライナの国を守る能力を今、支援することがスウェーデンの安全保障にとって最善だというのが私の結論だ』と語った。提供するのは、単発使い捨ての滑腔式対戦車砲AT4(5000門)や戦闘食糧13万5000食、ヘルメット5000個、防弾ベスト5000着など。アンデション首相によると、紛争国にスウェーデンが兵器を送るのは、1939年にフィンランドが当時のソ連の侵攻を受けて以来のことになる。これまでにウクライナ政府の緊急要請に応じて武器を提供した国は、米国、カナダ、欧州19か国に上る」(2022/02/28 AFP時事)。

 「フィンランド政府は2月28日、ロシアが侵攻したウクライナにライフル銃などの武器を供与すると表明した」(2022/03/01 共同通信)。

 

 ロシア系住民に工作して“分離独立”運動を起こさせ、「人民共和国」を自称させ、次にロシア系住民保護の名目で侵攻する段階的(サラミ戦術的)領土拡大がまかり通ってしまうなら、次は、バルト三国 ―― バルト海の東岸、フィンランドの南に南北に並ぶ3つの国を指し、北から順に、エストニアラトビアリトアニアである ―― がターゲットにされるだろう。