断章390

 「革命の指導者たちは、その理想を達成するために、さしあたりの貧乏は覚悟の上だろう。しかしながら、彼らの周辺には何百万の飢えた大衆が群がっている。そこで時を稼ぐために、これらの大衆にたいしては、すでに権力を失ったこれまでの実力者たちがあれこれと妨害策を行っているせいで、このような欠乏が起こっているのだ、という疑惑の感情が植えつけられる。ここで必然的に発生するのが恐怖(ホラー)の支配である。とどのつまり、一般の人間は宿命主義者となり、一切の理想を捨てて、ともかくも社会の能率を回復してくれる組織的な指導者の姿を追い求めるようになる」と、マッキンダー(現代地政学創始者)は語った。これは、1789年のフランス革命とナポレオンだけでなく、1917年のロシア革命スターリンについても、中国革命と毛 沢東についても言えることである。

 

 マルクス主義者は、社会を意のままに組織できると考えており、もしも彼らの希望どおりの社会状態にならなければ、また、ユートピアが実現できなければ、それは主に帝国主義による敵対行為、あるいは内部に潜む「人民の敵」の破壊工作、あるいは激甚な自然災害のせいにする ―― 朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮赤色全体主義と読むべきである!)の統治者の発言に顕著なパターンである。

 

 かの中国では習主席が、「中央省庁などの幹部らを前に演説し、『マルクス主義は強大な思想的武器だ』と強調」した ―― 「中国共産党は11日、地方や中央省庁の幹部らを集めて北京で研修会を開催しました。この研修会で習主席は去年、共産党が100周年を迎えたことを念頭に『偉大な建党精神を発揚し、歴史的な自信を深め団結を強める』よう指示しました。さらに『マルクス主義は我々が世界を認識し、世界を改造するための強大な思想的武器だ』と述べ、マルクス主義を中国の実情に合わせる『中国化』を進めるよう強調しました」(2022/01/12 テレ朝ニュース)。

 この日本では、白井 聡が『武器としての「資本論」』について語っている。同じ穴の狢(むじな)は、同じ言葉で話すのである。