断章360

 日本の知識人たち、とりわけ「左翼」知識人は、日本(自国)をおとしめるための材料として、「学問の自由」を声高に叫ぶ。しかし、忘れてならないことは、ダブルスタンダードの彼らは旧・共産圏諸国の「学問の自由」の圧殺には口を閉ざし続けていたことである。さて、引き続きランダムに、中国の今を記録しておこう。

 

 「中国共産党はこのほど大学の研究や教育の場で党の社会主義思想や歴史観を徹底し、教員や学生の思想監視を強化する規則を通知した。一党支配の下でこれまでも制約を受けていた『学問の自由』は監視強化により完全に否定された形だ。

 規則は高等教育機関における『党組織工作条例』の改定版で、4月16日に通知された。改定前も『毛沢東思想』や『愛国主義』などの教育をすると規定していたが、改定版は思想教育を『最優先する』と強調し『習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想』を徹底するよう要求。巡視活動を定期的に実施し、不十分な場合は警告処分などもあり得るとしている」(2021/05/16 共同通信)。

 

 「中国の習 近平指導部が格差是正のためとして掲げる『共同富裕』の理念に対し、北京大学の教授が異議を唱える文章をインターネットに投稿しました。教授は『政府の介入に依存すれば、共同貧困につながる』としています。

 香港の『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙によりますと、文章を投稿したのは北京大学の張維迎教授です。張氏は『市場の力を信頼せず政府の介入に依存すれば、共同貧困につながるだろう』と論じる内容を、1日、学術組織『経済50人論壇』のホームページに公開しました。

 習 近平指導部が今年、格差の是正を進める理念『共同富裕』を繰り返し強調する中、当局は独占禁止法違反で大手IT企業を摘発したり、芸能人を脱税で摘発したりするなどしていますが、張氏は『富裕層や起業家を標的にすれば、雇用や消費が打撃を受ける』とも指摘したということです。

 現在、文章はホームページ上から削除されている上、中国の通信アプリ『We Chat』では、張氏の文章を送ることもできなくなっているということです」(2021/09/06 TBS NEWS)。

 

 「中国でメディアを管理する国家ラジオテレビ総局は2日、『低俗で下品な』娯楽作品を排除するとして、アイドル育成番組などの放送を禁じる通知を出した。『道徳の欠落』した芸能人を取り締まり、共産党や国を愛する人物を重視するよう指示。業界への規制や思想統制を強める方針を示している。

 通知は全国の地方当局に向けて出された。オーディション番組の投票システムを厳しく管理し、人気ランキングなどでファンの消費をあおる行為を禁じるよう要求。番組出演者を選ぶ際は『政治素養』をチェックし、党や国から『心が離れている』人物は起用しないよう指示した」(2021/09/02 共同通信)。

 

 「中国本土では今後1年間に社債絡みの支払い約1兆3000億ドル(約141兆円)相当を控えている。クレジット市場は世界的なブームに沸くが、際立つ多さだ。

 この額は米企業を30%上回り、欧州全体と比べると63%も多い。しかも中国企業は本土債が記録的ペースでデフォルト(債務不履行)に陥っている時期に支払いを迫られることになる。

 こうした状況を背景に、投資家は世界2位の規模を持つ中国の債券市場が再び混乱に見舞われることを覚悟している。中国当局も、デフォルト容認でモラルハザード(倫理観の欠如)を減らしたい一方で長期資金の調達源として本土債市場の信頼性を高めようとしており、かじ取りが難しい。

 社債の平均償還期間は米国と欧州、日本では長くなっているが、中国では短期化。デフォルトが投資家にリスク軽減を促しているためだ。格付け会社フィッチ・レーティングスによると、今年1-3月に発行された中国本土債の平均年限は3.02年。昨年は年間ベースで3.22年だった。このままなら、同社が2016年にデータ集計を開始してから最短となる。

 ING銀行の大中華圏担当チーフエコノミスト、彭藹嬈(アイリス・パン)氏は『信用リスクが高まるにつれ、誰もが償還期間の短い証券だけに投資することでエクスポージャーを制限しようとしている』と指摘。 『デフォルト増加につれ、長めの社債の借り入れコストが一段と上がっており、発行体も償還までが短い債券を選好している』と述べた。

 中国本土債のデフォルトは、2016年には取るに足らない水準だったが、その後は4年連続で1000億元(約1兆6900億円)を突破。今年は先月時点ですでに1000億元に達した」

(2021/05/27 ブルームバーグ)。

 

 「中国共産党は2021年5月31日の政治局会議で、1組の夫婦に3人目の出産を認める方針を示した。2020年の出生数は1949年の中国建国後最大の落ち込みとなった。中国にとって巨大な人口は国際的な影響力の源泉だ。少子高齢化による経済成長鈍化などへの危機感は強く、産児制限の緩和に動く。中国は1980年ごろから夫婦に1人の出産しか認めない一人っ子政策を始めた。強制的な出産抑制で出生率は下がり、2016年にすべての夫婦に2人目の出産を認めたが、産児制限をさらに緩める。

 2020年の国勢調査によると、14億人超の人口はなお増加したが、減少への転換は間近だ。中国共産党系メディアの環球時報は人口統計学者の見方として『2022年にも総人口は減少に転じる』と伝えた。従来の見通しより5年ほど前倒しになる可能性がある。

 少子高齢化は急速に進んでいる。65歳以上の高齢者は20年までの10年間で6割増えた。人口に占める割合も13.5%に達し、国際基準で同14%超と定める『高齢社会』に間もなく突入する。対照的に、働き手や子どもの数は減少に歯止めがかかっていない。生産年齢人口は2013年のピークから4%落ち込んだ。1人の高齢者を支える現役世代の数は減り続ける。(中略)

 2016年の二人っ子政策は効果が長続きしなかった。出生数は17年以降4年連続で減った。とくに20年は1200万人と前年比18%の大幅減だった。人数も多数の餓死者を出した大躍進政策の影響が残っていた1961年以来の少なさとなった。

子育て支援策として、都市部で不足する預かり保育のサービスを充実させるほか、高騰する教育コストの削減にも取り組む。女性が出産しやすい環境をつくるため、出産休暇や関連の保険制度を整備するとした。

 中国では婚姻の減少も少子化に拍車をかけてきた。2020年まで7年連続で減少した。政治局会議は『結婚適齢期の青年が持つ結婚観、恋愛観、家庭観に対する教育指導を強める』と強調した。過剰な結納(ゆいのう)など行き過ぎた社会風習を是正するとした」(2021/05/31 日本経済新聞)。

 

 「東西南北およびその中心も一切を党が支配する」。これは、中国共産党・習 近平が好きなスローガンの一つだ。伝統的マルクス主義や「中国の特色ある社会主義」を常に強調し、一切を支配する中国共産党は、紅色全体主義の党である。