断章342

 繰り返し確認しなければならない。

 歴史を遡(さかのぼ)り、世界を知ろうとすることは、“教養人”になるためではない。

 人間の普遍本質を探究し、歴史・世界の真実を踏まえた〈救国救民〉の戦いにより、絵空事や美辞麗句でない現実的な改革を実現するためである。

 

 「現代の独裁者の多くは自由を求める闘士として政治活動を始め、国を牛耳っていた専制者や植民地支配者を追い払うために命と人生を賭して闘った。

 ところが集団同士の争いがおさまると、ヒヒ型リーダーたちは自らの利益を集団の利益よりも優先させ、国民に仕えることをやめ、権力の維持と強化にばかり眼を向けるようになる。そのような状況下において、ヒヒ型リーダーの成功のために不可欠な役割を果たしているのが追随者の存在だ」(ヒッペル)。

 

 民主政国家も似たようなものである。おのれのエゴを満たすために政界をめざした連中、あるいは政治を家業とする世襲議員たちだけでなく、「世のため人のため」と政治を志したはずの人たちも、権力の甘い罠に落ち、「自らの利益を集団の利益よりも優先させ、国民に仕えることをやめ、権力の維持と強化にばかり眼を向ける」ようになり、彼らの館(やかた)には、あまたの不実な追随者やへつらい屋やゴマすりどもがはびこって彼らをうれしがらせ、真実を告げる者は遠ざけられるのである。