断章267

 日本のマスメディア、「左翼」インテリは、「反権力のイドラ」とでも呼ぶべきものに取り憑かれている。ところが、そうした「反権力のイドラ」は、現下の国際情勢下では、全体主義国家や寡頭専制国家からつけこまれ悪用されて、自由民主主義国家の自由主義・民主主義を傷つけ分断を促進するために利用されている。

 全体主義国家やマルクス主義政党や独裁者は、「人類の将来についての開かれた議論に加わることは念頭になく、自由民主主義の信用を傷つけることにしか関心がないからだ。彼らは自由民主主義が抱える問題は嬉々として議論するものの、何であれ自らに向けられた批判は、まず許さない」(ユヴァル・ノア・ハラリ)のである。

 

 経済のグローバル化の恩恵をうけて力をつけ自信をもった中国は、「中華民族の偉大な復興」を呼号し、いまや明清王朝的な尊大な態度で、「冊封体制」の現代版かと見紛(みまが)う「一帯一路」構想を推進しつつある。

 

 「『経済の結びつきが深まれば、国と国の関係は安定し、紛争が起きづらくなる』。大まかに言えば、リベラル系の国際関係論の識者は長年、こう説いてきた。

約20年前、世界貿易機関WTO)に中国を入れたのは、そんな強い期待があってのことだ。

 しかし、そうした仮説は裏切られつつある。習近平(シー・ジンピン)政権が近年、各国による対中依存を逆手にとり、外交の武器にしているためだ。

 中国の立場に同調するよう求め、従わない場合、事実上の貿易制裁を科すケースが増えている。いちばん際立っているのが、オーストラリアへの仕打ちだ。豪州は200年4月、新型コロナウイルスの発生源をめぐって独立調査を求めた。怒った中国は検疫問題やダンピングがあったとして、豪州産の牛肉輸入を制限し、大麦にも80%超の追加関税を課した。両国の報道によると、11月上旬には銅やワイン、石炭、木材など7品目の輸入も差し止めた。輸出の3割超を中国が占める豪州には、大きな打撃である」(2020/12/08 日本経済新聞)。

 また、「中国の王毅外相は、最近、東南アジア諸国を2回にわたって歴訪し、中国製コロナワクチンの無償支援などを約束した。興味深いのは、10のASEAN加盟国のうち唯一ベトナムだけが訪問国から外れているという点だ。ベトナムだけは除外した。ASEAN加盟国のなかで一番はじめに中国の通信企業のファーウェイを拒否し、新型コロナの初期に中国国境を封鎖したこと。南シナ海の領有権問題とメコン河流域の水資源開発問題で軋轢があるからだとされている」(2021/01/18 ハンギョレ新聞)。

 

 そして、軍備拡大は大車輪で続いている。

 「中国の著名な軍人、劉明福国防大教授が新著で、中国軍が今世紀半ばまでの目標としている『世界一流の軍隊』とは、米軍をもしのぐ『世界最強』になることだと断言していることが15日までに分かった。

 習近平国家主席が2017年の第19回共産党大会で掲げた目標『世界一流の軍隊』とは『米軍並み』と見る向きが多かった。より野心的な目標であり、米軍などは警戒感を強めそうだ。

 新著は昨年10月に発行された『新時代中国の強軍の夢』。劉氏は、スポーツ試合と異なり『戦場に2位の序列はなく、勝つか負けるかの結果だけだ』と強調した」(2021/01/15 共同通信)。

 

 この報道に踵を接するかのように、「中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(英語版)は18日、上海で建造中の3隻目の新型空母が年末までに進水する可能性があるとの観測を報じた。2025年までに海軍に引き渡されるとの見通しも伝えている。

 同紙によると、陝西省西安で発行されている政府系の軍事専門誌『兵工科技』が最新の写真を分析したところ、ほぼ完成形に近づいているのが確認されたという。習近平指導部は、共産党が今年で創建100年を迎えるのに合わせて空母建造の進展を誇示し、国威発揚を図る可能性がある。

 従来の2隻は船首部分に傾斜のついたスキージャンプ式の甲板で艦載機の離艦を行うタイプだが、同紙によると、3隻目は艦載機を発進させるための電磁式カタパルト(射出機)を装備しているとみられるという」(2021/01/19 日本経済新聞)。

 

 また以前書いたように、「中国は『世界記録並みの』急ピッチで強襲揚陸艦の建造を進めており、すでに2隻目が試験航海を開始した。排水量約4万トンの同揚陸艦について、『台湾海峡南シナ海での軍事衝突で優位に立つ』という中国政府の念願実現の鍵を握る存在だと強調している。これらの海域では今年に入り、中国海軍と米海軍の睨み合いが頻発している。

 人民解放軍は075型強襲揚陸艦を計8隻発注している。現在3隻目が建造中で、2021年の前半には同軍に引き渡される見通しだ。中国メディアは、中国はまるで『餃子をつくるような』ペースで艦船を進水させていると表現した。

 報道によれば、075型強襲揚陸艦は、最大30機の攻撃ヘリコプターと最大900人の部隊の収容可能。2020年には複数のアナリストが、中国軍は今後075型に戦闘機も搭載する必要があり、フル稼働できるようになるのは2030年頃かもしれないと指摘した。

 米シンクタンク戦略国際問題研究所CSIS)は11月に発表した報告書の中で、中国軍が075型強襲揚陸艦のウェルドック(注水可能なドック型格納庫)から上陸用装軌車を発進させることも考えられると述べている。〈以下略〉」(2020/12/24 ニューズウィーク)。