断章252

 コロナ禍対策としての超金融緩和によって資産バブルはさらに膨らんだ。

 「保有資産が10億ドルを超え『ビリオネア』と呼ばれる米国の大富豪約650人の資産総額が、新型コロナウイルスの流行下に1兆ドル(約104兆円)以上増えたことが、米シンクタンクの政策研究所の調査で明らかになった。景気後退で失業率が高止まりする中、株高などの恩恵が一握りの富裕層に集中していることが鮮明になった。

 反対に、コロナ禍で生活が困窮したり、家賃が払えず立ち退きを迫られたりしているアメリカ人は数千万人に上るとされる」(2020/12/24 共同)。

 

 日本はどうか?

 「12月下旬に入っても感染者数は過去最多を更新しつつあり、先の見えない日々が続いています。感染の拡大とともに、経済も大きなダメージを受けています。

 東京商工リサーチの調べによれば、1-10月の累計で企業の倒産、休業・解散件数は50,448件に達し、2019年の同期間と比べて17%程増加していると言います。

 また、厚労省の発表によれば、新型コロナウイルスに関連した解雇は、12月18日時点で累計で77,739人にのぼります。業種別では、製造業が15,672人と最も多くなっているものの、飲食業10,935人、小売業10,384人、宿泊業9,605人と続きます。新型コロナウイルスによる不況の影響は、広く多くの産業に及んでいると言えるでしょう」(大西 連)。

 

 では、どうするのか?

 困窮者は、急いで、「生活保護申請を今年中にすること」。

 「役所の開庁日は28日のみであり、29~31日で今年も終わってしまう。28日に福祉課に行けない人は、29~31日の間に福祉課へFAXや郵送で申請も可能だ。

 12月中に生活保護申請するメリット、その1。まず、12月に申請した場合、期末一時扶助がもらえる。専門家の間では『もち代』と呼ばれたりもする。1年に一回だけの支給である。全ての生活保護受給世帯に新年を迎える準備金が支給される。これは世帯人数別に金額が設定されている。

 例えば、東京都新宿区の場合(2020年10月現在)、1人世帯で14,160円、2人世帯で23,080円(在宅の場合)が支給される。12月中に申請しておけば、生活保護支給決定が1月になった場合でも、さかのぼって支給してもらえることになる。残念ながら、年明けに生活保護申請しても、この期末一時扶助は支給されない。

 12月中に生活保護申請するメリット、その2。

 生活困窮世帯によっては既に家賃を滞納している世帯も見受けられる。12月分の家賃が支払えなくて困っている場合や不動産屋に待ってもらっている場合も、12月中に生活保護申請すれば、12月分の家賃から支給してもらえる。

 例えば、東京都新宿区の場合、1人世帯では53,700円以内、2人世帯では64,000円以内(特別基準は含まない)で家賃を支給してもらえることになる。これも1月に生活保護申請がなされれば、12月分の住宅扶助費は支給されない。

 生活保護申請日を年内の日付で記載して申請を。つまり、12月中に生活保護を申請する意思を福祉課に示す必要がある。28日に福祉課の窓口に行って、所定の生活保護申請用紙に記載することがベストだが、それができない場合も自分で申請書を作成して提出することもできる。書式は何でもいい。自前の申請書は極端なことを言えば、氏名や連絡先、申請理由が記載されていれば十分であり、あとはその申請を受けた福祉課が後日連絡をして、調査する際に聞き取りをすればいい。しかし、なるべく困窮理由と同時に審査しやすいように、必要最低限の情報を記載した方がいいだろう。

 オススメなのは、生活保護申請書作成サイト・フミダンによる生活保護申請書の作成だ。このサイトは最近、民間支援団体によって開発されたばかりだ。これに年内の申請日を入力して、印刷してFAXしたり、郵送送付、夜間窓口受け渡しをしてもいい。お住まいの福祉事務所の連絡先、郵送先、FAX送付先は、厚生労働省が福祉事務所一覧として掲載しているので、そちらのサイトから確認してほしい。

 今回は年内の生活保護申請をオススメしたが、考えてみてもらって、年明けに申請することも構わない。いずれにしても、厚生労働省生活保護申請を勧めている時期だ。悩まずに気軽に生活保護を活用いただきたい」と、専門家・藤田孝典(NPO法人ほっとプラス代表)は薦めている。