断章223

 「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ」(ダーウィン)。

 大事なことなので、また書きましたよ。

 

 「コロナ禍による収入減や雇用不安、テレワークの浸透などを背景に、副業を始める人が増えている。ネット上で仕事を受発注する『クラウドソーシング』大手のランサーズが2020年7~8月に行った調査では、同社サイトで副業をする人のうち約3割が『新型コロナ感染拡大が始まった2月以降に副業を始めた』と回答した。ユニ・チャームエイチ・アイ・エスなど大手企業の副業解禁が相次いだ2018年の『副業元年』から2年余り。コロナ禍を機に新たな『副業ブーム』が生まれつつある。

 北海道在住の20代男性は、今年3月にランサーズを通じてプログラミングの副業を始めた。本業の勤務先は、東証1部上場のメーカー。『以前は1カ月の残業時間が100時間になるほど忙しかったが、コロナ禍で会社の業績が悪化。人件費削減のため業務量を減らされ、余剰時間が生まれた』。さらに、テレワークの実施で通勤時間がなくなり、副業のための時間を確保することが容易になったという。

 副業では表計算ソフトのエクセルに含まれるプログラミング言語VBA』でプログラミングを行う。中小企業からの案件が主で、『エクセルの請求書と商品データを自動で紐づけてほしい』といったものが多い。本業の業務でVBAを使っていたが、『社内でVBAが使えるのは自分だけだったため、社外でもこのスキルを生かせるのではないかと考えた』。案件は月3件程度で、受注から納品にかかる時間は約5日間。副業を始めてから約8カ月間の売り上げは、累計約160万円にのぼるという。

 副業の経験を積む中で、VBA以外のプログラミング言語も習得したいと考えるようになった。そこで毎朝5時に起きて勉強し、プログラミング言語Python(パイソン)』を習得。『会社からの帰宅後は自宅でネット動画を見て過ごし、朝はギリギリの時間に起きて出社する』というコロナ前の生活が一変したという。『副業を始めて人生の選択肢が増えた。以前は今の会社であと40~50年勤め続けるしかないと思っていたが、現在はプログラミング技術を使う仕事への転職を考えている』と話す。

 都内在住の29歳の女性も副業で選択肢が増えた一人だ。コロナ前はシェアオフィス運営会社で広報として働いていたが、コロナ禍後も出社前提の働き方を変えない会社に疑問を持つようになり転職を決意。『在宅勤務を実施している会社への転職を考える上で心理的な支えとなったのが、3年ほど前から行っていた広報・PR関連の副業収入だった』。無事転職に成功し、9月からIT(情報通信)企業でマーケティング職として働く。

 副業では3社と業務委託契約を結び、広報を担当する。ニューズレターやウェブ媒体向けにPR記事を執筆するのが主な仕事だ。副業収入は月30万円程度。本業は残業しないスタンスで毎日17時に業務を終え、その後の2~3時間で副業をこなしている。『複数の会社で実績を積むことで、より多くの業界で使えるスキルを磨きたい』。

 経営環境の急速な変化を背景に、副業を解禁する企業は増加傾向にある。エン・ジャパンが運営する転職サイト『エン転職』の岡田康豊編集長によると、現在副業を認めている企業は全体の2~3割程度だが、今後数年かけて5割程度まで増加する見込み。『コロナ禍での業績悪化による社員の収入減などを受け、副業を認める会社は増えるとみている。特に、今まで副業をあまり行ってこなかった年収600万~800万円程度の層が副業を始めるようになるだろう』と岡田さんは話す。

 社員の副業を認めるだけでなく、外部の人材と業務委託契約を結び『副業として働くこと』を前提に仕事を依頼する会社も増えている。5月にはライオンがが新規事業の立ち上げなどに向けて、週1日勤務からの副業人材を公募。ダイハツ工業も9月に、週1日程度の勤務でサービスの企画などを行う副業人材の募集を行った(両社とも募集は終了)。リモートワークの推進で柔軟な働き方が可能になり、社外に優秀な人材を求める動きが生まれている。

 Zホールディングス傘下のヤフーは、7月に副業人材を100名程度募集したところ、4500人以上の申し込みがあった。採用者とは月5万~15万円程度の報酬で業務委託契約を結ぶ。『IT企業以外にも、金融業や製造業、コンサルティング業をはじめ、日本のあらゆる業種を制覇しているのではないかと思うほど多様な職業の人から応募があった』(ヤフーコーポレートPD本部長の金谷俊樹さん)。副業人材は、今後も継続的に募集していく意向だ」(2020/11/01 日本経済新聞 日経マネー・大松佳代)という。

 

 「捨てる神あれば拾う神あり」であり、「衰退する業界にも伸びる会社はある」。希望はいつも、色々なところにある。「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」(リクルートの社是)という。

 そして、国や自治体や企業は、「より多くの業界で使えるスキルを磨きたい」という声に応えなければならない。AIやロボットやICTに対応できるようになる教育制度(職業訓練)、職業(職種)転換のための補助金、企業内研修の整備拡充をしなければならない。