断章215

 日本共産党は、結党以来、半世紀以上の長きにわたって、旧・ソ連邦や中国や「北朝鮮」を「社会主義国」だとプロパガンダした。それらの国に「言論表現の自由」「学問の自由」は、微塵もなかった。そんなことは気にも留めず、日本共産党系「左翼」学者は、日本での「学問の自由」を隠れ蓑(みの)にして、党派的な(マルクス主義の)プロパガンダをしてきたのだ。

 

 日本共産党の尻馬に乗り、「反知性主義」「反教養主義」という“用語”を愛用する者たち。例えば、白井 聡(とそのお友達たち)は、みんな差別主義者である。たまたま金か銀のスプーンを銜(くわ)えて生まれてきたので高等教育を受けたにすぎない。にもかかわらず、経済的な事情で進学できなかった中卒・高卒・夜間大学卒にあからさまな学歴差別をする連中である。

 彼らの実態は、日本共産党のシンパだったり、八ヶ岳や軽井沢に山荘をもっている「学界」エリートだったり、シャンパン・リベラルである(韓国のチョ・グクの同類である)。

 口先で「正義」「公正」「平等」「格差是正」、あるいは「学問の自由」などの聞こえのよい主張をし、自分の支持層に対する人気取りのパフォーマンスに余念がない二枚舌で偽善的な「左翼」であり、リベラルである。

 

 以下は、わたしのための、後日のための備忘録である。2020/10/09~16の『現代ビジネス』オンライン、長谷川 幸洋の記事からの引用である。

 

 「任命を拒否された立命館大学の学者がテレビで『任命に手を付ければ、政権が倒れる』などと発言しているのだ。普通なら『私のような浅学非才の人間が選ばれるとは、恐縮です』という場面だろう。それを『オレさまを拒否するとは何事だ。政権が倒れるぞ』とは恐れ入った、というほかない。この学者はその後もマスコミに出てきて、政府批判を続けている。そんな勘違い発言を続ければ続けるほど、世間は共感するどころか、日本学術会議がいかに『浮世離れした存在』であるか、を理解するに違いない」。

 

 「日本学術会議問題が興味深い展開になってきた。野党や左派系マスコミは政府を追及しているが、逆に、会議のデタラメぶりが露呈する一方なのだ。まさに『藪蛇』『ブーメラン』状態である。どうやら、会議の抜本的な組織改編は避けられそうにない。

 日本学術会議の新会員問題を最初に報じたのは、日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』だった。10月1日付の『菅首相、学術会議人事に介入、推薦候補を任命せず』という記事で『学問の自由に介入する首相の姿勢が問われます』と首相を追及した。

 マスコミ各社が一斉に追随し、立憲民主党など野党は『菅政権のモリカケになるかも』と意気込んでいる。だが、そうはなりそうもない。それどころか、むしろ学術会議側のダメージが広がっている。たとえば、赤旗が指摘した肝心の『学問の自由』問題である。

 日本学術会議が学問の自由を守るどころか、まったく逆に、学問の自由を侵害した例が暴露されてしまったのだ。それは、北海道大学の奈良林直名誉教授が10月5日、国家基本問題研究所への寄稿で明らかになった。(中略)

 北大は2016年度、防衛省の安全保障技術研究推進制度に応募し、微細な泡で船底を覆い船の航行の抵抗を減らすM教授(流体力学)の研究が採択された。この研究は自衛隊の艦艇のみならず、民間のタンカーや船舶の燃費が10%低減される画期的なものである。このような優れた研究を学術会議が『軍事研究』と決めつけ、2017年3月24日付の『軍事的安全保障研究に関する声明』で批判した。

 奈良林氏は『学術会議は、日本国民の生命と財産を守る防衛に異を唱え、特定の野党の主張や活動に与(くみ)して行動している。優秀な学者の学術集団でありながら、圧力団体として学問の自由を自ら否定している』と批判した。

 奈良林氏が指摘した『M教授の研究』について、北大の永田氏は『確認したら、2017年度の公募だった。提出締め切りか5月末。並行してM教授の採択済みテーマの扱いが検討され、2017年度末をもって研究終了(研究費返上)が決まった。そこまでの研究成果の評価結果はA判定だったらしい』と投稿している。

 M教授の研究は、船の燃費改善に大きな効果があり、A判定を受けるほど評価も高かったのに、学術会議が圧力をかけて止めさせてしまった、という話である。燃費改善がいったい、どう軍事研究に結びつくのか。そんなことを言い出したら、自動車も作れなくなる。(中略)

 学術会議は声明で『大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記2つの声明を継承する』と宣言している。

 2つの声明とは『戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない』と記した1950年と67年の声明だ。私に言わせれば、この声明は2重に誤っている。まず、軍事的安全保障研究も当然、自由な学問研究として尊重されなければならない。これが1点。

 次に、軍事的安全保障研究を『戦争を目的とする研究』と決めつけるのも誤りだ。日本のような民主主義国家においては、まったく逆で『戦争を抑止する』観点が主眼である。たとえば、敵国に対して有利な情勢をどのように構築するか、という研究を通じて、自国への攻撃を思いとどまらせる方策を探るのだ。(中略)

 学術会議は日本で先端的研究を妨害する一方、中国科学技術協会とは協力覚書を結んでいる。中国の学術団体が中国共産党支配下にあるのは、言うまでもない。中国共産党が『軍民融合』を唱えて、先端技術の軍事応用を進めているのも、その分野では常識である。

 学術会議は2015年、そんな中国と覚書を交わして『本覚書の範囲内で推薦された研究者を、通常の慣行に従って受入れ、研究プログラムの調整や、現地サポートの対応を行う』と宣言した。日本の研究は妨害する一方、中国の研究は積極的に応援する。ダブルスタンダードどころか、まさに『国益に対する背信行為』と言わなければならない。

 野党や左派マスコミは『学術会議が推薦した新会員の任命が拒否されたのは、政府の不当な介入だ』と騒いでいるが、そもそも学術会議自身が『拒否を含めた政府の任命権』を容認していたことも明らかになった。

 10月7日付の朝日新聞BS-TBSなどによれば、会議は2016年、会員に3人の欠員が出たとき、ポスト1人につき優先順位を付けて2人の候補を首相官邸に示していた。さらに、17年には交代予定の105人を超えて110人の名簿を提出していた。

 これが意味するところは明白である。会議側は当時から『提示した候補者すべてが任命されるわけではない』と承知していた。つまり、首相の任命権だけでなく、拒否権を認めていたのだ。複数の候補を出したのは、拒否される場合を考慮したからにほかならない。

 呆(あき)れるのは、2016年のケースである。提示した複数の候補のうち、会議が優先扱いを求めた候補を官邸が拒否すると、会議側も譲らず、結局、欠員のままになった、という。

 これでは、何のために複数候補を提示したのか分からない。まさに『当て馬』だった。こんなところにも、世間の常識をわきまえない学術会議の立ち居振る舞いが見える。(中略)

 首相が任命を拒否するのは法律違反、と主張する学者もいる。およそ政府が税金を支出する団体に対して監督権限を行使するのは、民主的統治(ガバナンス)の大原則だ。学術会議のケースでは、首相による『任命拒否を含めた任命権の行使』が統治の鍵になっている。

 『政府からカネをもらって、人事もやりたい放題』などという話が通用するわけがない。これだけでも、学術会議周辺に巣食っている学者のデタラメさが分かる」。

 「日本学術会議問題で、野党は追及のロジックを見い出せず、菅義偉政権の意思決定プロセスくらいしか、問題にできないのだ。なぜ、こうなってしまったのか。

 立憲民主党蓮舫代表代行は10月14日の会見で『誰のための任命拒否を、誰がどの権限で行ったのか、がまったく分からない。その部分はまさに、密室政治そのものではないか、と思っている』などと語った。

 自民党は学術会議の在り方を検討するプロジェクトチームを立ち上げ、初会合を開いた。これについて、蓮舫氏は『自民党も政府も、躍起になって論点ずらしをしているとしか思えない。まったく間違っている』と強調した。

 そのうえで『日本学術会議の組織そのものに、百歩譲って課題があるとしても、今やらなければいけないのは、なぜ任命拒否をしたのか。その経緯の再検証が最優先だ。日本学術会議法に『内閣総理大臣が推薦に基づいて任命する』とある条文を、なぜ守らなかったのか、杉田官房副長官が人選に関与していたのか、違法行為があったのか。これに尽きると思っている』と指摘した。

 この発言を見れば、追及が袋小路に入ってしまったことが分かる。

 立憲民主党は当初『学問の自由に対する国家権力の介入であり、到底看過できるものではありません』などと拳を振り上げていただが、これでは『刺さらない』とみたのか、決定プロセス問題に矛先を変えてしまった。

 それはなぜかと言えば、学問の自由を脅かしていたのは学術会議自身だったことが、バレてしまったからだろう。北海道大学の奈良林直名誉教授が国家基本問題研究所に寄稿し、同大のM教授の研究について学術会議が圧力をかけ、研究を辞退させていたことが明らかになったのである。(中略)

 私は、この『北大事件』を『夕刊フジ』の連載コラムでも取り上げているが、夕刊フジ編集部の取材に対して、学術会議の広報担当者は『何をもって圧力なのか分からない』などと答えている。実に苦しいコメントである。

 北大事件の最大のポイントは『学術会議の誰が、どのように圧力をかけたのか』『北大側は誰が応対し、なぜ圧力に屈してしまったのか』という点である。私は『M教授が研究を辞退しないと、学術会議は北大の学者を学術会議の会員に推薦しないぞ』と脅したのではないか、みている。

 学者の世界では『日本学術会議会員』という肩書が『最高級ブランド』になっている。これを手に入れれば、社会的名誉はもちろん、学者の世界で幅を効かせられる。

 具体的に言えば、政府の科学研究費(科研費)の配分をめぐって、学術会議会員の学者が事実上の裁量権を握ることも可能になる。科研費の配分は日本学術振興会科研費審査委員が決める仕組みだが、学術会議会員が審査委員を兼ねる場合も多いのだ。

 学術会議の会員(と連携会員)は現在の会員(と連携会員)が推薦する仕組みだが、推薦を受けたうえで、新会員(と新連携会員)候補者は学術会議の選考委員会と幹事会、総会、さらに会長の承認を得なければならない。そのうえで、最終的に内閣総理大臣に候補者を推薦するのは会長だ。つまり、推薦の決定権は完全に学術会議が握っている。こうした仕組みの下で、学術会議の意向に逆らうと、学者の世界で異端扱いされ、会員になれないばかりか、研究の命である科研費の恩恵にも与れなくなってしまいかねないのである。

 いずれにせよ、まさに『学問の自由』に直結する問題であり、事は重大だ。学術会議は何をしていたのか。政府・自民党は、ぜひ『北大事件』の真相を国会で徹底的に検証してほしい。いまだに『学問の自由に対する侵害』などと叫んでいる野党や左翼学者たちは、その線で追及を続けると、自分たちがドツボにはまってしまうことに気が付いていないようだ。

 蓮舫氏が決定プロセスについて『再検証が最優先』と言っているのは、そんな落とし穴に気づいて、軌道修正を図っているのかもしれない。そうだとしたら、野党はいずれ、問題をうやむやにして終わらせるのではないか。(中略)

 蓮舫氏が問題視している意思決定プロセスについても、一言、付け加えよう。首相が案件を決裁するのに、官房長官官房副長官、さらに閣僚たちを指示して、前さばきさせるのは当たり前だ。何から何まで、首相が自分ひとりで仕切るわけがない。

 それを『密室政治』などとケチを付けているようでは、およそ子供じみていて、話にならない。野党議員はその程度、と今回の問題でも、またバレてしまった。

 左翼学者たちは『日本学術会議を手に入れた』と思い込んだ。そこは、カネと名誉が思いのままになる『左翼の楽園』だった。調子に乗って、他の学者の研究にも文句をつけたら、見事に成功してしまった。そこに菅政権が任命拒否を仕掛けると、蜂の巣を突いた騒ぎになって『学問の自由』を言い出した。だが、それこそが、まさに『やぶ蛇』だったのだ」。