断章193

 「中国が6月以降、ヒマラヤの小国ブータン東部の領有権を新たに主張している。ブータンと、その後ろ盾のインドは激しく反発する。中国の動きには、国境地帯で軍同士が衝突するインドに対し、揺さぶりをかける狙いがあるとの見方が強い。

 中国が領有権を主張し始めたのは、途上国の環境保護を支援する国際基金『地球環境ファシリティー』の6月上旬のテレビ会議だった。議事録によると、ブータンが助成を申請した同国東部『サクテン野生生物保護区』を巡り、中国代表が『保護区は中国とブータンの国境画定協議で議題になっている紛争地域だ』として、異議を訴えた。

 これに対し、会議でブータンの利益を代弁する南アジア諸国代表は『保護区はブータン固有の領土。過去に中国側が領有権を主張したことはない』と反論した」(2020/07/13 日本経済新聞)。

 

 さらに、「中国軍は25日から、台湾を念頭に東シナ海など4つの海域で異例の大規模な軍事演習を行います。すでに南シナ海黄海渤海でも行っていて、4つの海域での同時期の演習は異例です。演習を行う海域には台湾が実効支配する南シナ海東沙諸島の周辺も含まれていて、中国メディアは台湾が越えてはならない一線を越えれば軍事行動もあり得ると牽制(けんせい)しています」(2020/08/25 テレ朝・ニュース)。

 

 これらの動きが、古くは、「1958年の台湾海峡の危機 ―― 台湾問題は内政問題と言う位置づけだが ―― の際は金門島を奪取する意図はなかったのに、砲撃を加え、中国人民の戦う意思の高まりを、大躍進運動の推進に方向づけていった。

 中印国境戦争の際も、インド軍をたたいて勝利し、自らの権威の再確立に役立たせて行った。

 1969年珍宝島の戦い(引用者注:中ソ国境紛争)は、長年開いてこなかった中国共産党第9回大会の開催が予定されていた。毛沢東は『反ソ』を使って、文化大革命による混乱を収集し、国内の支持を取りつけようとしていた。

 対外的な危機を作り出して、中国人民の気持ちを外敵に向けさせて1つに団結させ、そのエネルギーを対内的な政治目標の達成に向けて方向づけるという、毛 沢東的政治手法」(『中国国境 熱戦の跡を歩く』から抜粋・再構成)の継続なのか。

 それとも、全体主義の習 近平・中国共産党の拡張主義の現われなのか。

 

 すでに天気暗雲にして、波高し。日本丸は、より困難な舵取りが予想される。しかし、7年半におよぶ長期政権を築いた安倍晋三首相は、28日、辞任の決断をした。

次の日本丸の船長(リーダー)に欲しい「資質は、次の5つである。知力。説得力。肉体上の耐久力。自己制御の能力。持続する意志」(イタリアの高校歴史の教科書から)。

 しかし、このすべてを持っていたのは、古代ローマからローマ帝国終焉までで、ユリウス・カエサルだけだったらしい。なので、次のリーダーにも高望みはしまい。ただ、国民の幸福を第一にするという気概だけは、持っていてほしい。