断章40

 中国と朝鮮は、中ソ対立、中国文化大革命ベトナム戦争中のニクソン大統領の中国訪問、核開発、張 成沢の処刑などで何かとギクシャクしてきたが、現在、共にアメリカの強い圧迫を受けているためなのか、中国共産党総書記・中国国家主席である習近平(シー・ジンピン)が6月20日から21日まで平壌を訪問した。中国の最高指導者の訪朝は2005年に胡錦濤(フー・ジンタオ)が訪朝して以来、14年ぶりである。

 中国共産党朝鮮労働党は、もともとは同じ穴の狢(ムジナ)である。

 朝鮮民主主義人民共和国版「赤い貴族」の特権生活(1985年頃の)を紹介する。

 

 「特権層に対しては一般庶民が思いもよらない特典が与えられている。その一例として、子供たちの教育を挙げれば、北朝鮮社会がいかに激しい階級社会であり不均衡社会であるかがわかる。

 平壌市内の普通江のほとりに建つ南山学校は、党高級幹部級の子弟だけが通う、いわゆる社会主義貴族学校で、幼稚園から高等学校まである。平壌市内の繁華街にある少年宮殿は、党性(家庭の党に対する忠誠心)が強く、可愛くて芸能に素質がある子供だけが通う特殊教育施設である。

 南山学校と少年宮殿の子供たちは、一般庶民の子供とは分離され、贅沢な衣食と秀れた環境の中で特別教育を受ける。すべてが特別待遇である。

 これ以外にも、万景台革命学院は、いわゆる革命遺家族の子弟が通う学校で、幼稚園過程からズボンに赤い筋の入った軍服を着せ、軍事教育を行い、中佐(中領)の待遇をしている。彼らは品物も局長級以上だけが利用できる“10号商店”で購入するなど、あらゆる物質的な特典を受けている。

 松餅(うるち米の粉で生地を作り、あんを包んで半月の形にし、松の葉を敷いて蒸した餅)も知らない庶民や非党員の子供たちと比較すると、このような特殊学校に通う子供たちは完全に別世界に生きている」(『闇からの谺』崔 銀姫・申 相玉)。

 

 「わたしが北朝鮮社会でつくづく感じたのは、金 日成は徹底的に物質(モノ)をエサにして人民から忠誠心を引き出しているということである。完全な配給制のもとに供給体系を10段階に分け、身分によって量と質に差をつけ、少しでも多くのものをもらうための忠誠心競争をさせ、結局人民たちを配給制によって統率しているのである」(同上)。

 

 「彼らが掲げている“平等によい暮らしを”というスローガンは、単なるつくりごとに過ぎない。彼らは共産主義理想社会に到達する以前の社会主義段階では仕方がないといっているが、とすれば彼らがことごとに誹謗する資本主義社会となんら変わらないではないか」(同上)。