断章526

むかし昔の話である。 「命もいらず、名もいらず、もとより官位も金もいらぬ。プロレタリアート自己解放のために、プロレタリアート解放の『前衛党』建設のために〈献身〉しよう」と決意した多くの青年労働者が、「パルタイ」(=日本共産党)、あるいは「反…

断章525

“ネガティヴ・キャンペーン”の域を出ない、単なる現状批判だけが得意な日本の大学知識人(とくに「左翼」知識人)たち。彼らが威張れるのは、日本国内だけである。世界標準から見ると、本物の知識人は日本にはほとんどいない。 わたしが、「日本の知識階級く…

断章524

「『資本論』という本の何がすごいかというと、19世紀後半に書かれた本ですが、社会の仕組みの全体像、社会の全体がこうなっているという本なんですよ。いや、『資本論』は、世界そのものを読み解く作業だと言ってもよいほどの包括性をもっている。これを読…

断章523

あまたの聡明で学識深い多くのインテリたち(あのマルクスも!)が、あえて語ろうとしない本質的な問題がある。それは、「人間もまた動物である」ということである。 「もし哲学者が人間を動物として考察することを最も恥ずべきことと考えないとしたら、彼に…

断章522

「物理学・化学の世界であれ、地学・生物学の世界であれ、また精神と行動の世界であれ、世界についての真実を認識し直視するときにのみ、われわれは、世界における自らの真の地位を知ることができよう」(ジュリアン・ハクスリー)。 「科学的社会主義」(用…

断章521

マルクス主義者(コミュニスト)、そして、彼らに同伴する「知識人」たち。 彼らのおもな仕事は、日本や“資本主義”の否定的なあれやこれやに対する民衆の“トラウマ”や“反感”や“道徳的憤激”をあおり立てて“ルサンチマン”に育てあげ、マルクス主義の「コミュニ…

断章520

人の一生は、宇宙的な次元から見れば、ケシ粒よりも小さく、まばたきよりも短い。けれども、凡愚なわたしたちにとっての一生は、たとえるなら、長い坂道を資産家たちの子弟子女が自動車であっという間に上がっていき、秀賢たちが電動アシストつき自転車でス…

断章519

「インテリとは、自負すればするほど一度染められた考えに縛られる性向を持つ」(塩野 七生)。 日本共産党・不破 哲三たちはどうだろうか? 不破が講演した「民主青年同盟、秋の大学習集会」は、1974年10月に東京・武道館で開催された ―― 同じ1974年2月、「…

断章518

前稿、断章517の鈴木 元は、日本共産党京都府委員会の専従・役員を勤め、党歴60年であるという。日本共産党員は、「真面目」であると、自他ともに認めることが多いそうである。けれども、彼ら日本共産党員は、自分の思索の手綱をまるまる党中央にゆだね、そ…

断章517

ここ最近、日本共産党に関する本が何冊か出版されている。ただし、日本共産党創立100周年を寿(ことほ)ぐ本ではない。 たとえば、『志位 和夫委員長への手紙』では、日本共産党京都府委員会の専従・役員を経て、その後も地域の共産党後援会の会長を務める党…

断章516

「よく準備した者だけが生き残る」(『機長の判断力』、2009)。 「第一次大戦後に独立したフィンランドにとって、軍縮が図られ、国際連盟の保護が期待できた1920年代は平和であった。しかし、1930年代になるや、フィンランドの東西にはスターリンのソ連とヒ…

断章515

「足元に踏みしめる大地のみならず、岸辺を洗う湖水のみならず、頭上にざわめく大空もわが祖国である」(カール・マンネルヘイム)。 ちなみに、わが日本のガラパゴス化した言論界に棲息(せいそく)する「自称」知識人やリベラルの仮面をかぶったコミュニス…

断章514

「天空、太陽、元素、人間は、昔あった姿と、その運行、体系、働きを変えてまったく別物になったのではない」(マキャベリ)。だから、「これから起こることのすべてを知りたい人は、これまで起こったことを学ばなくてはならない。いつの時代であっても、世…

断章513

「世界の人口は、1分に156人、1日で22万人、1年で8千万人、増えています。 世界中で、1年に6千万人が亡くなり、1億4千万人が産まれます。(世界銀行・国連・米国勢調査局などの統計による推計値) 貧富の拡大、温暖化など問題が山積です。 表土と森が失われ…

断章512

日本がこれまでに行ったウクライナ支援は、金額的には、北欧諸国と比べて見劣りするものではない。財政支援が総額約1,400億円、防衛装備品が防弾チョッキ・ヘルメット・テント、生活用品が毛布・食料・ブルーマット・睡眠用シート、越冬支援が発電機・太陽光…

断章511

「武器を使用するのを厭(いと)う者は、それを厭わぬ者によって必ず征服される」(クラウゼヴィッツ)。 1月20日、注目されていたウクライナへの武器供与をめぐる支援国会合が、ドイツ西部ラムシュタイン米空軍基地で開かれた。しかし結局、ドイツは、ウク…

断章510

これまでの日本には、自称「知識人」リベラルを筆頭に、いわゆる「出羽守」がゾロゾロいた。ドイツ・フランス・イギリス・北欧諸国の事例と比較して、日本(人)はダメだとさげすむ人たちである。 ロシアのウクライナ侵略後、いったい彼らは、どこに行ったの…

断章509

日本の自称「知識人」たちは、祖国を卑しめ、日本人を辱しめ、民衆を見くだし、“資本主義”を罵倒(ばとう)することで忙しい。そんな自称「知識人」たちは同意しないだろうが、現代世界 ―― そして、日々衰えつつあるとはいえ現代日本も ―― は、彼らが言うほ…

断章508

「ならず者国家」もまた大混乱・大波乱・大変化を引き起こす。 「著名な国際政治学者イアン・ブレマー氏が社長を務める米コンサルティング会社ユーラシア・グループは3日、毎年恒例の『世界の10大リスク』を発表した。 2023年の1位には、ウクライナ侵攻を続…

断章507

パンデミックの脅威もつづいている。 新型コロナの世界感染者は、直近で累計6.63億人。合計死亡者数は670万人である。 「日本の厚生労働省によりますと、1月6日に発表した新型コロナウイルスによる全国の死者数は456人で、2022年12月29日の420人を上回って、…

断章506

天災は、大混乱・大波乱・大変化の契機になる。しかも、まるで平仄を合わせるかのように、天災と人災の生起には奇妙な一致がある。 新春早々、ジャーナリスト・石 弘之は言う。 「地下のマグマが一気に地上に噴出し、壊滅的な被害や寒冷化を引き起こす超巨大…

断章505

大混乱・大波乱・大変化に備えなければならない。 記憶は薄れるものだ。過去のことは忘れやすい。たとえば、「私の曾祖母が生れた頃は、人間は馬より速い速度で旅することはできなかった。それからしばらくたってからも、蒸気機関車が限界だった。夜の闇から…

断章504

祖国を貶(おとし)め民衆を軽(かろ)んずるネガティブ・キャンペーンをつづける者たちと戦い、〈救国救民〉の旗を高く掲げて、「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ!」(ガンジー)。 わたしたちの国を守り前進させることは、わたした…

断章503

「ロシアのプーチン大統領は最終的に核を使うのではないか。そんな懸念が高まっている。ウクライナの反攻にあって、占領地からの後退を余儀なくされているロシア軍。これに対して、プーチン大統領は12月7日、(引用者注:一方的に隣国を侵略したあげくに)『…

断章502

スターリン主義とは、「社会主義とは、『共産党』の指導下で、大企業を国有化し、農業を集団化し、近代化(工業化)した経済を“計画経済”で運営することだ」という特権的党官僚階級の、特権的党官僚階級による、特権的党官僚階級のための、悪質な“赤色全体主…

断章501

「“資本主義”とは、搾取と収奪、抑圧と差別、格差と疎外の社会であり、“社会主義”とは、友愛に満ち、公正で、人間の尊厳を守る社会である」と、「左翼」インテリは宣伝する。 「左翼」インテリは、おおむね、選挙にさいして「日本共産党に期待します」と発言…

断章500

「ブルジョワジーは、かれらの100年たらずの階級支配のあいだに、過去のすべての時代をあわせたよりも、大量で巨大な生産諸力をつくりだした。自然諸力の征服、機械装置、工業と農耕への化学の応用、汽船、鉄道、電信、世界全土の耕作、河川の可航化、全部が…

断章499

普通の人(たとえば、凡愚なわたし)がそれなりにおだやかに暮らしていける社会。普通の人(凡愚なわたしたち)がくり返し夢に挑戦できる社会。より多くの人々が成功・繁栄・尊厳・幸福を手にする可能性の大きな社会。公明正大で慈悲深い社会。 かかる社会の…

断章498

「旧・ソ連邦のスターリン政権下で秘密警察として機能したNKVD(内務人民委員部)とその後継組織に当たるKGB(国家保安委員会)は、国外で暮らすロシア人に約70年にわたって目を光らせていた。在外ロシア人が体制に脅威をもたらす可能性を恐れたためである。…

断章497

「自身の実践知(生活実感)だけで物事を判断してしまう人は、実践知(生活実感)から離れた知識を取り入れることによって自分の狭い実践知(生活実感)の世界を広げればいいし、知識だけあって実践知(生活実感)を持たない人(=大学知識人など)は、『自分…